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第7話

あの日、役所の前で私と優子、それに俊介の三人の様子が、誰かに撮られて動画としてネットに流されたのだ。

私の顔にはモザイクがかけられていたが、彼ら二人の顔ははっきりと映っていた。

「愛し合いながら白髪になるなんて、結局はクズ男と安っぽい女が寄り添って年を取っただけだ!」

「あの日、多くの人が見ていた。老人が本妻と離婚し、この愛人が恥知らずにも外で挑発していたなんて、本当に恥ずかしい話だ。ここまで生きてきて常識が欠けているなんてね。」

この件はネット上で炎上し、写真館も「愛人の愛」を宣伝していると非難を受け、釈明せざるを得なかった。

彼らはただ写真を撮っただけで、まして俊介と優子が二十年以上も続けて来ていたことを考えれば、誰がそれを本妻に隠れていたと思っただろうか。

これでネットユーザーの怒りはさらに増した。

「この老人、私たちの大学時代の外国語教授だったんだよね。仕事は真面目だったのに、まさかプライベートではこんな奴だったなんて。」

「不倫はまだしも、こんなに長い間隠し続けるとは。」

「若い頃からおそらくろくな奴じゃなかったんだろうね。」

......

優子は、事態がここまで手に負えなくなるとは思ってもいなかった。

誰かが思いついた方法で、彼女は俊介の家に引っ越し、一緒に住むことで若い頃に相愛し、今ようやくその夢が叶ったというように釈明することになった。

俊介の方は、私がいなくなったせいで生活が混乱していた。

料理をする人も、家事をする人もいない。

彼は毎日仕方なく外食に頼り、服や靴下、下着を全部まとめて洗濯機に入れ、物を適当に置くのでしょっちゅう探す羽目になっていた。

ちょうど八月で孫娘が夏休みに入ったばかりで、息子と嫁は仕事があり、孫娘を彼に預けることになった。

家には家事をする女性が必要で、彼は他人が嫌いで家政婦を頼むこともしなかったので、優子の同居を拒む理由もなかった。

引っ越してきた初日、優子と俊介、息子夫婦で家族写真を撮り、それをネットに公開した。

さらに彼らの壮大な「愛の歴史」を語り始めた。

息子もその投稿にコメントを付けた。

「優子さんは教養のある方で、とても穏やかで、私たちにもよくしてくれます。父とも相性が良く、子供としては両親が幸せであることを願っています。今、父が大切な人と再び一緒になれたことを、私たちも
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