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第10話

5日後、私は浩との婚約披露宴を迎えた。

開催が急だったため、地元に親戚がほとんどいないので、今回の婚約披露宴には私の両親以外はほとんど彼の親戚ばかりだった。

さらに、浩がビジネスの話をするチャンスだと言って、長谷川家のビジネスパートナーたちも、ほぼ全員が来てくれた。

人が揃ったところで、私は司会者に手を振って合図し、司会者が舞台に上がり、挨拶を始めた。

「今日は、美しい前田杏さんとハンサムな長谷川浩さんの婚約の日です。皆さん、彼らがどのように出会ったのか気になっているでしょうね?それでは、彼らの幸せな過去を振り返ってみましょう」

画面が司会者の言葉に合わせて点灯した。

光が皆の顔を照らした。

最初に映し出されたのは、浩の家で撮った写真だった!

あの薬、浩の名前が書かれた処方箋、そして私がネットで調べた資料!

そこには「エイズ」という大きな文字が明るく書かれていた!

「これは、どういうこと?」

人々は騒いだ!

浩の顔色が瞬時に変わった。

彼は立ち上がり、声を慌てさせて叫んだ。「これは誰が勝手に作ったんだ、早く、早く消して!」

映像担当のスタッフも呆然として、私からメモリを渡されたことに気づき、慌てて電源を切った。

画面が暗くなった瞬間、浩がほっとしたように見えたが、私はすでに立ち上がり、舞台に向かっていた。

私はボーっとしている司会者からマイクを奪い、下を見渡して言った。「私は前田杏で、今日はここで、長谷川浩一家が彼のエイズ感染を隠し、私を騙して結婚させようとしていることを皆さんに話す!」

「杏、何を言ってるんだ!」

浩の声は震えていた。彼は私をじっと見つめ、二歩前に進み出た。「誤解してるんじゃないのか、検査結果も見たんだろ?俺に問題がないって書いてあった!」

「それは、検査結果が偽物だから!」

私は彼の不機嫌な顔を見て言った。「その検査を行った医者、長谷川秀雄を調べた」

私はふと下のテーブルを見て言った。「あれはあなたのおじさんだよね」

瞬時に皆の視線が向けられ、座っている秀雄は目を逸らした。

親戚の中には秀雄を知っている人もおり、彼が確かに医者であることを知っているので、目つきが変わった。

浩の顔は歪んだ。

彼はさらに私を説得しようとした。「
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