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第9話

小石里美がそんなに自信満々で、絶対に勝つ気でいる様子を見ると、少し不思議に思った。

車がスタートした後、私は一定の速度を保ちながら、彼女が何を企んでいるのか様子を見ていた。

しかし、小石里美は全く急ぐことなく、競争する気もないようだった。

落ちてきた髪の毛をかき上げる余裕さえあった。

その態度に少し苛立ちを感じた。

どうやら彼女はただ注目を集めたいだけで、本気で勝つつもりはないらしい。

まるで私たちは見せ物になっているようだった。

しかし、最初のカーブを過ぎたところで、彼女の真意がわかった。

私の車は誰かに細工されていて、カーブの際にブレーキが全く効かなくなったのだ。

私はハンドルを強く握りしめ、心が徐々に沈んでいった。

幸いなことに、スピードはそれほど速くなかったし、ゴール前には両側にタイヤが設置されており、それを利用して減速できそうだった。

三木晴人も異変に気づき、ゴール地点に向かって人を連れ、減速用の準備を指示していた。

小石里美が三木晴人を手に入れたい、小石家の地位を確保したいという気持ちは理解できる。

しかし、人の命を軽視する彼女の態度には我慢がならなかった。

こんな人間が小石家の後継者にふさわしいとは思えない。

私は冷静になるよう、自分を必死に落ち着かせた。

今、私の目には、周囲で騒ぎ立てる観客や小石里美の自信満々な友人たちは映っていない。

ただゴールだけを見据えていた。

私は小石里美に教えてやるつもりだった。どんな状況でも、私は勝てるのだと。

三周目に入ると、私は小石里美を周回遅れにし、彼女はレースを諦めてコース脇で私の結末を見守っていた。

彼女は手すりを握りしめ、その目には興奮と悪意が輝いていた。

私たちの因縁は、学生時代から続いていた。

彼女は私を敵視し続け、かつては私には届かない位置にいたが、今は自分が私より上だと思っている。しかし、彼女の標的が変わることはなかった。

当時、私もまさかこんな形で彼女と再び関わることになるとは思っていなかった。

最後の一周に入ると、私は減速を試み続けた。

手のひらには汗がにじんでいた。

ゴールでは、三木晴人が焦りの表情を浮かべて待っていた。

そして、私は減速帯に激突し、そのまま意識を失った。

心の中で「私は勝った」と呟きながら。

目が覚めると、私は病院のベッ
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