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第6話

俺はスマホを取り出し、小池莉菜に電話をかけたが、向こうは何度かけても出なかった。

緊急事態だったが、彼女に直接メッセージを送るわけにもいかず、小池拓哉がまだバーにいる間に、小池莉菜の部屋へ直接行くことにした。

彼女は今日、頭痛がすると言って部屋で休んでいるはずだった。

しかし、俺がドアをノックしようとした瞬間、小池莉菜の部屋のドアが中から開き、そこに現れたのは小池拓哉の従兄弟、小池健斗だった!

「こ、小池さん……」

俺がドアの前に立っているのを見て、小池健斗の顔に一瞬驚きと戸惑いの色が浮かんだ。

しかし彼はすぐにそれを隠し、真剣な表情で俺に軽くうなずいた。

「俺の義妹に用事か?」

「いえ、何でもないです!」

彼の義妹の部屋にパンツを探しに来たなんて、口が裂けても言えるわけがない!

俺は即座にその場を離れ、急いで逃げ出した。

部屋に戻るとすぐに荷物をまとめ、タクシーを呼んで市内に戻った。

家に着いてから、小池拓哉にメッセージを送り、「体調が悪いので市内の病院に行きました」と伝えた。

何しろ彼らはすでに支払いを済ませており、写真もほぼ撮り終えていた。これ以上ここに留まってボロが出れば、金の返還どころか大問題になるかもしれなかったからだ。

ただ、小池健斗がどうして小池莉菜の部屋から出てきたのかが謎だった。

小池莉菜は具合が悪いと言っていたはずだが?

俺もこれ以上深く考えるのをやめた。

幸いなことに、小池拓哉は俺が本当に具合が悪いと信じ、特に何も聞かず「お疲れ様」と言って大きなご祝儀まで送ってくれた。

ご祝儀なんてとても受け取れない。俺はただ、この仕事が終わったら二度と連絡を取らないことを願うだけだった。

1週間後、彼らが選んだウェディングフォトはすべて仕上がった。

小池拓哉に電話して送付先を聞こうと思った矢先、小池莉菜からメッセージが届いた。

彼女が送ってきたのは1枚の写真、なんと俺が無くした赤いパンツだった!

小池莉菜はこう送ってきた。「齋藤さん、一週間一緒にいるって約束だったのに、どうして急にいなくなったの?」

俺は慌てて返信した。「お前、何がしたいんだ?!」

「別に。ただ帝国ホテルの1808号室に来て、もう一度一緒に過ごしてほしいだけよ!」

小池莉菜は俺の罪状を握っているので、行かざるを得なかったが、その前に慎重を期
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