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第5話

「小池さん、あんたの婚約者はたった今出て行ったばかりだよ」

「彼は会社の用事を片付けに行ったんでしょう。戻るまでかなり時間がかかるわよ。それとも、あんたが怖いの?」

俺はため息をついて、そのまま小池莉菜を抱き上げて部屋に連れて行った。

ベッドの上。

小池莉菜は顔を赤らめ、満足そうな表情を浮かべていた。

「齋藤さん、誰かにあなたのテクニックが最高だって言われたことある?」

「テクニックだけか?」

彼女の腰を軽くつまみ、少し意地悪に問いかけた。

「もちろん、テクニックだけじゃないわ」小池莉菜は再び俺の上に跨りながら続けた。「このところ、拓哉の世話にはうんざりしてたのよ。でも、彼のお父さんにちゃんと面倒を見るって約束しちゃってなかったら……」

「彼のお父さん?」

「なんでもないわ、なんでも」

小池莉菜は話をそらして、再び俺との新たな戦いに突入した。

その後数日間、俺たち三人は楽しく過ごした。

昼間は、撮影ポイントを探し回りながら、全力で小池拓哉たちのウェディングフォトを手伝い、誠実なフォトグラファーとしての役割を演じていた。

夜になると、小池拓哉が寝静まるのを待って、小池莉菜が俺の部屋に忍び込み、俺に精を出させた。

こうして3日間が過ぎた。

4日目に、小池拓哉のいとこ、小池健斗が突然現れた。

「弟よ、俺は前に女が信用できないって言わなかったか?本当にあいつと結婚するつもりか?」

小池拓哉は真剣な表情で答えた。「兄さん、もう言わないでくれ。俺は本気で莉菜が好きなんだ。絶対に彼女と結婚する!」

小池健斗は鼻で冷笑し、小池莉菜をきつく睨みつけてから、自分の部屋へ向かった。

彼の到来によって、俺たちの撮影スケジュールは前倒しで終了せざるを得なくなった。

帰るために荷物をまとめていたその夜、小池莉菜が突然電話をかけてきた。彼女は小池拓哉が元気をなくしているから、12階のバーで一緒に飲んでほしいと言った。

小池拓哉はいい奴だと思っていたので、俺はバーに向かった。

バーでは、小池拓哉がボトルを抱えて離さなかった。

その様子を見る限り、かなり酔っているようだった。

「小池さん」俺は彼の肩を軽く叩いて慰めた。「そろそろ止めておきましょう。人生には越えられない壁なんてないし、兄さんだってあなたのためを思って言ってるんですよ……」

俺は彼が今
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