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第6話

「20万?」

私は眉をひそめ、即座に首を横に振った。

「あなたのお父さんと私の共有財産には、あの家も含まれているわ。こんなに長く一緒にいたんだから、離婚するなら普通は平等に分けるべきでしょう?20万円なんて、絶対に無理よ」

かつて一番親しかった私たち三人は、数十万円のために言い争いを続けた。

正直、私は本当に大金を求めているわけではなかった。

夫婦の共有財産だって、結局のところ息子一家にとっくに使い果たしていたのだから。

私が欲しかったのは、ただ彼らの胸を少しでも痛ませることだけだった。

お金のやり取りを繰り返し、互いに醜い本性をさらけ出した後、ついに私は折れた。

「こうしましょう。20万円だけいただくわ。残りの共有財産は、息子に譲ることにするわ。残りはあなたが持って行って、どうぞその女を養ってちょうだい。私にはもう関係ないから」

息子の目が輝いた。まさかこんな良い話があるとは思っていなかったようだ。

こうして私たちは円満に離婚し、役所で手続きを済ませた。

三十日後、離婚届を受け取りに行く予定だ。

お互い合意の上の離婚で、揉めることもなかった。

それからようやく私は親友に電話をかけた。

「離婚したわ!手伝いに来て、引っ越しよ!」

親友は車を飛ばして私のところに来てくれた。

年はとっているものの、運転技術は一流だ。

年齢以外は、全くと言っていいほど年配者らしくない。

彼女は太めのヒールの靴を履き、カツカツと小走りでやってきた。私は貴重品だけを運び出し、それ以外は全部捨てた!

「おめでとう!五十八歳で新しい人生を手に入れたのね!」

私は目頭が熱くなり、彼女をぎゅっと抱きしめた。

「ありがとう」

その後、私はもう過去のことには一切こだわらなくなった。

親友と毎日を楽しむ日々が始まった。

若者が好むレストランやバーにも行ったが、バーは騒がしすぎて好きにはなれなかった。

その代わり、スパに行くのをとても気に入ってしまった。こんなにリラックスする体験は初めてだった。

さらに、親友と一緒に旅行にも出かけ、お互いに写真を撮り合った。金があれば心配事はない。

心の中でひっそりと考えた、これはまさに神のような生活だと。

私た
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