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第5話

私は離婚の知らせを先に流した。そのニュースが広がると、会社の投資やプロジェクトに問題が生じ、高橋家の支援がなくなったことで株価が急落し、時価総額が蒸発した。

柏原介の顔色は真っ青だった。「清夏、どういうつもりだ?これもお前の会社だぞ、何をふざけているんだ?」

この瞬間だけは「お前の会社」と言うのか。柏原介は私が会社のためにこの関係を続けるだろうと見込んでいるのだ。

案の定、彼は続けた。「どちらにせよ、俺たちは利益で密接に繋がっているパートナーだ。業界ではこういうことは珍しくない……」

私は滑稽だと思い、「お互いに合意すればオープンマリッジとも呼べるけれど、あんたは一方的な不倫をしているだけですよ」と言い返した。

北原萌香が早くて冷静さを失った。

柏原介と正式に財産分割をしない限り、彼女は安心できないのだ。私がまだ柏原介に未練があるのではないかと心配し、また騒ぎを起こし始めた。

柏原介が彼女を一度晩餐会に連れて行ってから、彼女はすっかり有頂天になり、自分の立場を見失っていた。

社内の一部の人間も、北原の勢いに惑わされ、こびへつらう者まで出てきた。

そして「柏原社長奥さんが交代する」という噂まで耳にするようになった。

私は仕事に復帰し、自分のオフィスに行くと、北原萌香がそこで座っているのを見た。

デスクや引き出しはすべてあの女に物色されていたが、重要なものはすべて鍵をかけていたので問題はなかった。

入ってくると、彼女は少しも慌てることなく、まるで自分の領地であるかのように振る舞っていた。

「私が許可した覚えはありませんが、北原さんが勝手に私のオフィスに入ってきた理由を聞いてもいいですか?」

「書類を取りに来ただけですよ。高橋さんに連絡するのも面倒だし、セクレタリに頼んで合鍵をもらいました。社長も気にしてないです」北原は柏原介の名前を出して、威圧しようとした。

私のオフィスに、雑多な人間が入ることは許されない。それは私の譲れない原則だ。これが柏原介の指示であるとは信じられない。どうせ彼女が勝手に自分の権力を誇示しているに過ぎないのだろう。

まだ私が口を開く前に、北原は私の引き出しから見つけた柏原介との写真を広げ、皮肉たっぷりに指さして言った。「高橋さんと社長、昔は仲が良かったみたいですね。でも、残念でした。あなた、あまりそれを大事にできなか
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