第72話

「小池様、こんばんは。私はリゾートのスタッフです。当リゾートでは今夜、バーベキューとキャンプのイベントを開催しております。小池様もご参加されますか？」

優奈は、夜は特に予定がなかったため、参加することにした。

夕方、定められた時間にキャンプ場に到着すると、意外にも多くの人が集まっていた。

ここに来ているのは、みんな加藤財団と関係がある人たちばかりだった。

優奈が驚いたことに、成瀬とその一行、中村の撮影クルー、美代子と彼女の友人たちも来ていた。

優奈は最初、一人か二人用のバーベキューグリルの近くに座り、焼肉の準備を始めようとしたが、美代子が彼女を見つけた。

「優奈ちゃん、こっちに来て一緒にやりましょう！」

優奈は断ろうとしたが、美代子は直接彼女のそばにやってきて、「一人で焼肉をするなんてつまらないわ。こっちに来て、一緒に話しながら楽しみましょう」と誘った。

美代子の熱心な招待に押されて、優奈は仕方なく彼女たちと一緒に座ることにした。

彼女がお婆さんたちの集団に座ると、優奈は一気に目立つ存在になった。

美代子と一緒にいるのは、横島の他の大富豪のお婆さんたちで、優奈を見ると皆が美代子に「あの子は誰？」と尋ね始めた。

真由美が話そうとしたが、美代子が先に口を開いた。「この子は私の義理の孫娘、優奈よ。もし年頃のいい男の子がいたら、孫娘に紹介してね！」

それを聞いて、優奈は少し無力感を感じ、「お婆さん......」

彼女はまだ成瀬と離婚していない上に、今は恋愛に集中するつもりはなく、まずMYをうまく立ち上げることが最優先だと思っていた。

美代子は微笑みながら彼女を見て、「優奈ちゃん、心配しないで。結婚するときは、私がしっかりとした嫁入り道具を用意してあげるわ！」と言った。

これを聞くと、周囲の人々は誰が良い青年を紹介できるかなどを話し始めた。

その横で成瀬も美代子の言葉を聞いていたため、顔が急に真っ黒になった。

まだ優奈と離婚していないのに、もう彼女に相手を紹介しようなんて、自分がどれだけ浮気されれば気が済むんだ？！

井上は面白そうに成瀬を見ながら、「廉、こんなんでバーベキューが食べられるか？」と笑った。

成瀬は彼を冷たく睨みつけ、無表情で「暇ならそのまま肉を串に刺してろ」と言い放った。

このバーベキューイベントは完全にセルフサービスで、