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第 0350 話

彼女は小さい頃によくここに来ていた。時には祖父と一緒に、時には母と一緒に。長年が過ぎたが、根本家の邸宅は記憶の中のままで、リフォームされていても大きくは変わらず、瀬川家の琵琶湖の別荘よりも馴染み深かった。

ドアを開けて出迎えたのは煜城の母だった。

瀬川秋辞は「おばあさん」と声をかけた。

煜城の母は根本煜城と同じように穏やかな顔立ちで、瀬川秋辞の手から贈り物を受け取り、「早く入って、外は寒いわ」と促した。

この数日は春先の冷え込みがあり、冬よりも寒く感じた。

煜城の母は瀬川秋辞の後を見て、「煜城は?久しぶりに来たから、道が分からなくなったんじゃないかと心配して、彼が山の下まで迎えに行ったんだけど
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