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第 0353 話

根本煜城は、絶対に薄野荆州に薬を塗ってもらうつもりはなかった。今の彼らはまるで敵同士のような関係で、本来ならただの軽い傷なのに、薬を塗ってもらった後にはそのまま病院送りになりかねないと恐れた。

一方、薄野荆州もまた、瀬川秋辞が根本煜城に薬を塗ることを許すつもりはなかった。

二人の目にはお互いへの隠れた敵意が光っていたが、それでも気品と優雅さを保ちながら座っていた。

瀬川秋辞は、二人の間に漂う張り詰めた空気を見て見ぬふりをし、食事を終えた後、煜城の母を手伝って食器を片付けた。そして、挨拶をして席を立った。「おばさん、午後は仕事がありますので、先に失礼させていただきます」

彼女は博物館での仕事があ
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