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第 0319 話

瀬川秋辞は車から降りなかった。薄野荊州は強引に降りさせていなかったが、少しも譲らないようにそこに立ちはだかっていた。これがある種の強制だとも言えた。

二人がそのまま膠着状態に陥ってしまった。山の上は都会より寒くて、風も身を切るように強かった。

最後に、瀬川秋辞のスマホが急に鳴り出して、その静寂を破った。

画面上に映った「根本煜城」との文字は、薄野荊州の目にはっきりと映り込んだ。男の何気ない顔は急に沈んでしまった。

瀬川秋辞は電話に出た。「煜城、何か用?」

この口調は、彼と一緒にいた時のような重苦しい調子とは全く違うのだった。

根本煜城「友達から花火をたくさんもらったんだけど、どこかで一緒にして
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