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第 0316 話

しばらく黙っていた。彼女は話したかったが、怒りすぎて話もうまく出てこなかった。

「薄野荊州、入ってきなさい!」

階下の瀬川秋辞も彼女の声が聞こえた。

薄野荊州がドアを開けると、目が赤くなって悔しい顔をして、自分を見つめていた松本唯寧を見た。詳しいことを聞いていないで、江雅子は歯を食いしばって先に口を開いた。「彼女と一緒に墓参りに行くの?」

男は眉をひそめて、不機嫌そうに松本唯寧を見た。「……ああ」

「お正月に女性と一緒に墓参りに行くって、それはどういう意味か、知ってる?」

「母さん、なんと言っても、おじさんが亡くなったのは私にも一部の責任があるから。今日は彼の祭日……」

「理由がどうであれ、と
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