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第 0262 話

507号病房にいた看護師が薄野荊州によって追い出されて以来、誰もその病室に入ってこなかった。薄野荊州は相変わらずベッドの傍らに座っていて、その手の傷は既に止血してかさぶたになっていた。窓の外は次第に暗くなり、ついには完全に闇に包まれた。

薄野荊州の動きはずっと変わらず、時折目を瞬きするだけで、まるで命のない彫像のようだった。

病室は防音ではなく、外からの話し声や足音がはっきりと聞こえた。そのひそひそ話が薄野荊州の耳に入り、彼を一層孤独で寂しく見せ、まるで幽霊のようだった。

夜になると、外の音さえ消え、さらに静かになった。

「カチャ」

「カチャ」ドアノブが押される音が静かな病室に響き渡ったが、薄
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