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第 0269 話

上野忱晔からの電話だった。

「今どこ?お前のアシスタントが言ってたけど、まだ会社に来てないって。どうしたの?せっかくのチャンスを前に、こんなことを楽しんで会社を放り出すなんて」

男女二人きりで、アルコールの刺激もあって、こんな好機を逃す男なんていないだろう。

薄野荊州は窓外を流れる街の景色をちらりと見た。目は真っ黒で感情の起伏は読み取れなかった。「今役所を出たところなんだ」

電話の向こうはしばらく黙って、困惑した声を出した。「昨夜、瀬川秋辞をお前のところに連れてって言ったじゃないか?酔っ払っから直接やればいいのに。お前はどれほど萎えているんだ、口先だけが身体の機能を上回るほど強いのか」

「……
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