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第 0175 話

中村悦織は頬骨を押さえて痛がった。「瀬川秋辞、すぐにその瓶を下ろしなさい。もう一滴でも飲んだら、あなたと本気で戦うから……」

「カチャ」

個室のドアが開き、外から背の高い姿が入ってきた。彼は廊下の明るい照明を背にしており、顔の輪郭は全く見えなかった。ドアが閉まると、完全に黒い影になった。

中村悦織は目を細めて来た人の顔をじっくり見つめた。「中井さん、タイミングが完璧だね。帰ったら母に給料を上げるよう頼むわ。まずは瀬川秋辞を連れて行って、酔っ払っても命に別状はないけど、彼女の酒癖は本当に命に関わるから」

二人は長年の友人で、一緒に飲んだこともあったが、瀬川秋辞がこんなに酔っ払うのは初めてだった。
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