第 0071 話

慣性で瑠璃の体は前に揺れ、腹部に鋭い痛みが走った。体を縮めて痛みを和らげようとしたが、隼人に強引に引き寄せられた。

怒りでその美しさが損なわれていない隼人の顔が、瑠璃の目の前に迫ってきた。

隼人は冷たい目で瑠璃を見つめ、「つまり、認めるんだな。お前が薬で俺を眠らせて、俺と寝たことを」と言った。

瑠璃は長年愛し続けてきたその顔を見つめ、微笑んだ。

「目黒社長がそうお考えなら、どうぞご自由に」彼女はもう、これ以上無駄な説明をする気にはなれなかった。

だが、隼人は一瞬動きを止め、目の前で笑う瑠璃の顔に、ふと過去の誰かと重なるイメージが浮かんだ。彼が掴んでいた瑠璃の襟を緩めたが、すぐに目には嫌悪の色が濃くなった。

「下劣だ」

彼は冷たく唇を歪めてそう言い、瑠璃を突き飛ばした。

腹部に鋭い痛みが走り、瑠璃は眉をひそめて痛みに耐えたが、それでも意味ありげな笑みを浮かべて隼人を見つめた。

「そうよ、私は下劣よ。でも、どれほど下劣でも、あなたの愛する人よりは千倍もきれいだわ！」

「黙れ！」隼人は怒りで彼女を遮った。「また蛍を中傷するつもりか！」

「ふっ」瑠璃は痛みに耐えながら笑った。「中傷する必要がある？」

その言葉を聞いた途端、隼人の手が瑠璃の首にかかり、彼女を強く締め上げた。

一瞬にして、瑠璃は呼吸することができなくなった。

「瑠璃、もう一言でも言ってみろ。今すぐにでも殺してやる！」隼人は歯を食いしばりながら、冷たい目で瑠璃を睨んだ。

瑠璃の顔は赤くなり、息も絶え絶えだったが、屈せず言い放った。

「私は言うわ、蛍は最低な女よ！」

息苦しさに耐えながらも、瑠璃の言葉は力強く響いた。彼女は隼人の冷たい目をまっすぐに見つめ、さらに続けた。

「隼人、私は命を懸けて誓うわ。私が愛したのはあなただけ。だけど蛍がどれだけ男と付き合ったか、あなたは知らないでしょう！

「三年前、彼女が妊娠していたのはあなたの子供じゃなかった。それでもあなたは彼女を信じて、あの流産の茶番のために、私たちの本当の子供を犠牲にしたのよ……」

その言葉に、瑠璃の心は鋭い刃で切り裂かれた。

彼女は嗚咽し、涙が頬を伝った。

隼人の目が一瞬揺らぎ、突然、瑠璃の首から手を離した。

「ゴホッ、ゴホッ……」瑠璃は大きく息を吸い込み、ようやく呼吸を取り戻した。そして、隼人の揺れる瞳を見つ