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第3話

今夜、森下葛尾は猪口洋子とジュエリーと一緒に遅くまで遊ぶだろうと思っていた。

ところが、意外にも私の部屋にやってきた。

「ハニー、もう産褥期も終わったし、そろそろ」言いながら、私を抱きしめ、キスをしようとした。

「ダメよ。医者は最低でも3ヶ月は安静にするようにって言ってたわ」と彼を突き放した。

「それに、今はそんな気分じゃないの。4人の子供たちのことを考えると、辛くてたまらないわ」

彼の後ろにある写真の方を指差した。

彼は一瞬瞳孔を縮め、顔色を悪くしてベッドから降りた。

「こんな時、あの子たちのことを持ち出すなんて、もう亡くなったんだから、言うな」

そう言うと、彼はドアをバタンと閉めて出て行った。

私に怒鳴ったのは、これが初めてだった。

なんだ、お前も怯えるか。それは人間の当然の反応だね。

4人も子供を殺したのだから、怖くないはずがない。

ベッドに横たわり、心の中で計画を練り始めた。

森下葛尾はその後、私の部屋には来ず、今夜は別室で寝ると言った。

しばらくして、彼がドアを開ける音が聞こえた。

私はそっとドアを開けると、彼が猪口洋子の部屋に入っていくのが見えた。

猪口洋子もまた私の期待を裏切らなかった。

こんなに早く森下葛尾を手に入れようとするとはね。

私は静かに部屋を出て、猪口洋子の部屋の前まで行った。

中から、男女の吐息が聞こえてきた。

「葛尾、やっと毎日あなたに会えるようになったわ。あなたに会いたくてたまらなかった」

「洋子、俺も君に会いたかった。早く服を脱いでくれ」

森下葛尾の声は焦っていた。

私は携帯をドアの隙間から差し込み、彼らの行為を全て撮影した。

翌朝、猪口洋子は森下葛尾との親密な写真を何枚か送ってきた。

「見た?森下葛尾の心は私にあるのよ」と勝ち誇ったように言った。

「おめでとう。もうすぐ葛尾を手に入れるのね」

私は森下葛尾が簡単に私と離婚するとは思っていなかった。

私の実家は、彼が手がけているプロジェクトに出資しているのだ。

私と離婚する勇気はないだろう。

この時、森下葛尾が突然やってきた。

猪口洋子はすぐに口を閉じた。

私は森下葛尾の腕に抱きついた。「あなた、明日の日曜日は、一緒に脱出ゲームに行かない?」

森下葛尾は少し考えてから、「いいよ」と答えた。

私は心の中で冷笑した。

彼は私が仕掛けた罠に、一歩一歩近づいている。

隣の猪口洋子の目に、怒りがよぎったが、何も言えなかった。

翌日、車で脱出ゲームの店に連れて行ってくれた。

昔も、森下葛尾はよく私と一緒に脱出ゲームを参加していた。

ただ、彼は臆病なので、いつも誰かとチームを組んでいた。

今回の脱出ゲームのテーマは「子供たちを取り戻せ」だった。

夫婦が亡くなった子供を探すという主題で、2人いれば十分なのた。

森下葛尾はテーマを聞いて、顔が真っ青になった。

「希代子、他のテーマにしないか」

「嫌よ。これがやりたいの。私があなたを守るから」と、私はすぐに甘えた声で言った。

森下葛尾は仕方なく、一緒にゲーム部屋に入った。

ゲームが始まるとすぐに、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。

森下葛尾は怖がって、その場に跪いてしまった。

私は彼の手を掴んだ。

「あなた、まだ最初のステージよ。NPCも出てきてないのに、そんなに怖いの」

「俺は……俺は大丈夫だ」と彼は慌てて立ち上がった。

ここから、もっと面白いことが彼を待っている。

事前にスタッフに、怖さを増してほしいと頼んでおいたのだ。

そして、2番目のステージでは、単独行動のミッションが始まった。

森下葛尾に行かせた。しばらくすると、彼の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。

たくさんの子供たちが彼を「パパ」と呼び、「命を返せ」と言っているのだ。

彼は怖がって、「来ないでくれ。俺は君たちを殺していない」と叫んでいた。

そして、彼は恐怖のあまり気を失ってしまった。

私は彼を病院に連れて行った。

彼が目を覚ました時、もう二度と脱出ゲームには行かないと言った。

「いいよ」とうなずいた。

構わないよ。脱出ゲームに行かないなら、私が家で幽霊のふりをして怖がらせてやればいいさ。

毎晩彼を怖がらせ、亡き子供たちのことを思い出させてやるよ。

夜、装備を整え、偽物の赤ちゃんを抱いて彼の部屋に行った。

事前にブレーカーを落としておいたし、猪口洋子も用事で出かけた。

森下葛尾は私を見て、恐怖のあまり悲鳴を上げた。

「僕は地獄の使いだ。お前はどうやって子供たちを殺したんだ?正直に話せ。さもないと、地獄に突き落としてやる」

彼は頭を両手で抱えて震えていた。

「俺は……俺は彼らを突き落としたんだ」

「本当のことを言っているのか、どうかわかるのか」

「証拠がある……証拠は俺のパソコンの中にある」

そう言うと、彼は気を失ってしまった。

本当に怖がりだね。みっともない。

私は彼の部屋を出て、書斎に行った。

しかし、パソコンにはパスワードが設定されていた。

森下葛尾のパソコンには仕事の資料がたくさん入っているらしく、パスワードを知っている人は姉の森下綾と彼自身のみ。

翌日、森下葛尾は朝早く会社に行った。私は森下綾の家を訪ねた。

森下綾は家でパーティーを開いていた。私を一瞥しただけで、その後は無視した。

普段から森下葛尾と仲が悪いので、私のことも好きではない。

旦那のお父様が子供に会社を共同経営させていなければ、森下綾もパソコンのパスワードを知らなかっただろう。

「お姉さま、後継者の座が欲しいですか」

私は森下綾に静かに言った。

森下綾は踊りを止め、執事に全員を外に出すように言った。

「今の言葉はどういう意味」

森下綾はソファに座って私を見つめた。

森下家には森下綾と森下葛尾しかいない。

旦那のお父様は二人とも平等に扱っている。

しかし、後継者は一人しか選べない。

森下葛尾は今、能力が高いので、森下綾は彼にかなわない。

「来月1日はお義父様が後継者を発表する日です。あなたを後継者の座に就ける代わりに、森下葛尾のパソコンのパスワードを教えてください」

「なぜあなたを信じなければならないの?何のつもりなの」

森下綾は私を軽蔑するように睨みつけた。

「私の4人の子供は森下葛尾に殺されました。後継者発表の日に、彼に復讐するつもりです」

そう言うと、森下綾の瞳孔は大きく見開かれた。

全てを彼女に話した。ようやく彼女の信頼を得た。

筋を聞いた彼女は「森下葛尾は本当に人でなしね」と思わずこう言った。

確かに、私も彼が人でなしだと思いるわ。

4人の子供を殺した。絶対に許さない。

森下綾と合意した後、彼女の家を後にした。

家に帰ると、すぐに書斎に行ってパソコンを起動し、USBメモリを挿した。

中には、子供たちを殺した証拠がほんとにあった。

何のために動画を残したのかはわからない。

こんなこともを撮るなんて、不思議に思うが、私はついに証拠を手に入れたのだ。

動画をコピーするのを待つ間、緊張で心臓がドキドキした。

誰かが入ってこないかと不安だった。

この時、玄関のドアが開く音が聞こえた。

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