第1話

早朝から栄養満点のお弁当を作り、夫の森下葛尾に届けに行った。

しかし、彼のオフィスのドアを開ける前に、部屋の中の言葉で立ち尽くしてしまった。

「ジュエリーのオペは成功したか？」

秘書は恭しく答えた。「社長、大成功でした。今回の奥様のお子様は、ジュエリー様と適合しました。」

「よかった、この子の骨髄がやっとジュエリーと適合した。さもないと、こいつもお陀仏だった！」と森下葛尾の愉快な笑い声が聞こえた。

一瞬、私は身動きができなくなり、血液が凍りついたようになった。

自分の耳が信じられなかった。

つまり、今まで夭折した4人の子供は皆、彼に殺されたということ？！

そんなに積極的に私と子供を作りたがったのは、猪口洋子の娘に合う骨髄を見つけるためだったのか？！

涙がこぼれ落ちそうになり、私は口を覆って音を立てないようにした。

この時、秘書が外に出てこようと聞こえて、急いでトイレに身を隠した。

ただ、トイレで全身の震えが止められなかった。

やばい！生後1ヶ月にも満たない息子の智樹がどうなるの！

今朝、森下葛尾は智樹を予防接種に連れて行くと言い、私なら家でゆっくり休むように言われていた。

今考えると、今日、予防接種ではなく、骨髄提供のために病院に連れて行ったに違いない！

早く病院に行かないと！

あれ？あそこに秘書が智樹を抱いてオフィスに入った。

フー、涙を拭い、気持ちを落ち着かせ、ドアを開けた。

部屋の中で森下葛尾は智樹を抱いてあやしていた。

駆け寄って智樹を奪い取った。

幸い、智樹には異常はなく、生まれたばかりの頃のようにおとなしかった。

「ハニー、どうして会社に来たんだ」森下葛尾は優しく声をかけ、私を抱きしめた。

「まだ産後一ヶ月もたっていないのに」

これは森下葛尾のやり方。この人は私の結婚して6年になる夫。

この6年間、とても良くしてくれた。

欲しいものは何でも買ってくれたし、普段も私のことを気にかけてくれた。

結婚式の後、彼は「すぐに子供を作ろう」と言ってきた。

6年間で、彼のために5人の子供を産み、4人が夭折した。

彼はその度に私を慰め、また産めばいいと言ってくれた。

だから、何度も妊娠し、何度も彼のために子供を産んであげたいと思った。

子供4人も失い、立て続けに妊娠したことで体に負担がかかり、メンテナンスも体も結構弱ってしまった。

医者は「もう子供を産むのは危険だ」と教えてくれたが。

それでも私は妊娠したかった。

彼との子供が欲しかったからだ。

いまさらやっとわかったわ。私と子供を作ったのは、猪口洋子の娘のためだったのだ。

「会いたくてたまらなかったの」私は赤い目で彼を見つめた。

いつも我慢強いタイプだから、今も自分の感情をうまく隠すことができた。

森下葛尾は私の異常に気づかず、額にキスをした。

「今すぐ一緒に帰るよ。おれの最愛の宝物を悲しませるわけにはいかないからね。」

彼は私の手を引いて、智樹をあやしながら笑っていた。

帰る道中、ずっと太ももをつねって、冷静さを保とうと必死だった。

4人の子供たちのことを思い出し、長い妊娠期間を経て、命懸けで子供を産み落としていた。

本来なら、彼らは健康で幸せに育つことができたはずなのに。

なんと、森下葛尾に命を奪われてしまったなんて。

復讐しなければならない！