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生存者なし愛よ
生存者なし愛よ
著者: ジンジャーよ

第1話

子供の頃に喘息が発作した言弥を助けただけで、私は彼の執念となった

両親が病気で他界したあの日、私は葬式からある人物に引き取られた。再び起きたら、私は既に最上家の別荘のベッドの上に横になっていて、ベッドの横にあったのは二枚の婚姻届受理証明だった。

言弥は情深い目で、私をじっと見つめていた。

「おかえり、晶」

私には、言弥のお嫁さんになる気が全くなかった。彼のことを愛していないのだ。

しかし、逃走とするために、彼はお約束通りに現れ、私を強引に連れ戻るのだ。どんな手を使っても、まかれようがない。

私と絡まり、殴る合うような七年が過ぎて行き、彼はとうとう外で新しき恋人を作った。

藤井杏というあの女の子は、私と同じく左目の端に泣きぼくろがついている。

泣きぼくろだけではなく、私とよく似た顔立ちの彼女は、私とほぼ瓜二つの柄と衣服のセンスをシェアしている。

彼女は二人が親密に見えるツーショットしかSNSにアップしていない。いかにも、最上家のお嫁さんの立ち振る舞いだった。

私は言弥がやっと自分のことを諦めてくれたと思い、大きな笑顔で彼が良縁に恵まれたことにおめでとうと言った。

すると、言弥はその大きな手で、私の首の後ろにあった傷を撫でた。彼の目から、深い情が溢れ出していた。

「晶。僕知っているよ。晶が僕に触れられることを拒んでいるのも、僕と一緒にイベントに出るのに抵抗があるのも。その解決法を見つけたのだ!」

「僕が、晶の完璧のレプリカを作るから。そのレプリカが晶の代わりに、公衆の前に出て、晶の嫌なことを済ましてくれるさ」

私も自分の首の後ろにあった傷を撫でた。その時、私は心底から耐えずに絶望を感じたのだ。

言弥が会社へと出ていてから、私はやっと震えながら、先までずっと握りしめていた手のひらを伸ばした。

私の手に握っていたのは、言弥のところから盗んできた彼のスマホだった。

不意に、とある怖い発想が頭の中に浮かんでしまった。

丸ごと七年、私がどんな手を使ったのにもかからず、言弥はいつもタイミングよく現れ、鬼の面相で私を強引に連れ枯れるのだ。

私が全ての警備を外し、一気に監視カメラを全部壊しておいたのに......

自分の身を束縛していた縄を解したあと、私は深呼吸して、一歩つづ部屋の外へと歩き出した。

裏庭についた時に、言弥にスマホが鳴った。

「目標は間もなく安全区域を離れます。眩暈警報を作動しますか」

「目標が安全区域を離脱しました。間もなく眩暈警報を作動します」

私は目を離さずにスマホを見つめていた。そして、首に後ろから腐るほど熟知している刺すような痛みが沁みてきた。

やはり。

私はずっとそれを前回自害しようとした時の傷の祟りだと思っていたが、まさかこれは言弥が私の体内に設置した警報シムだった。

道理で逃げようとするたび、言弥に捕まえられるまで行動が極めて遅くなって、ひどく目眩がするわけだ。

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