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第8話

半月ぶりに見た空は、ひと回り痩せていた。私を見るなり、赤い目で抱きつき、顔を私の胸に押しつけてきた。

幼い頃、彼はチクチクする髪の毛を私の胸にこすりつけるのが大好きで、私はくすぐったさに彼のわき腹をくすぐり返したものだった。

毎回その遊びで二人とも汗だくになって、笑い転げたものだ。

その頃の空は私に寄り添いながら、「ママ、僕、大きくなったらパパと一緒にママを守るからね」なんて言ってくれて、私は世界一幸せな女性だと感じていた。そして、すべての愛情を颯斗と空に注いでいた。

けれど、結局彼らは私の精一杯の愛を重荷に感じ、私を嫌いになってしまった。

私は手を横に垂らしたまま、空を抱きしめるつもりはなかった。

しばらくして空は私に顔を埋めたまま、少し塞ぎ込んだ声で聞いてきた。

「ママ、僕のこと、嫌いになったんだね」

その言葉に胸がつまって、私は窓ガラスに顔を向けて小さく頷いた。

「うん、嫌いになったわ」

空はびくっと顔を上げ、涙が次々とこぼれ落ちた。

「本当にごめんなさい。全部、空が悪かったんだ......お願いだから、もう一度僕を許して。

僕とパパ、これからはちゃんと守るよ。もう二度とママを悲しませたりしない」

私は手を伸ばし、彼の涙をためらいながら拭った。

「でもね、ママの心は壊れてしまって、もう二度と元には戻らないのよ」

空はうつむいて泣き続け、颯斗もかすれた声で私に尋ねた。

「桜井は......桜井はお前を大事にしてくれているか?」

私は目を伏せて答えた。

「とても大事にしてくれるわ」

「俺と比べても?」

私は颯斗をまっすぐに見据えた。

「彼の心には私しかいないの。だから、ある日突然どこかから現れて、命まで奪おうとするような『彼女』が出てくるんじゃないかなんて心配する必要もない。

颯斗、あなたは自分が道徳を破らなかったと胸を張り、彼女を友人や家族だと思っていただけだと言い訳をし続けていたわね。

本当は彼女があなたに抱く気持ちを理解していながら、あなたは受け入れも拒絶もしなかった。彼女をあなたのそばに置くことを許した。

本当に一番悪いのは、あなたなのよ。最も地獄に堕ちるべき人も」

颯斗は何か言おうと口を開きかけたが、結局ひと言も発することはできなかった。

私はもう一度空に目をやり、こう告げた。

「空、これからは女性を
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