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第5話

乃愛が人殺し?

私は信じられない気持ちで彼女を見た。乃愛はその瞬間、顔色が青ざめ、次の瞬間には湊を指さして罵り始めた。

「琴音のために、私を悪者に仕立て上げるつもり?信じられない!でたらめを言わないで!

あの爆発事故では、私だって被害者だったのよ」

乃愛は袖を引き上げ、腕に残った醜くも生々しい傷痕を見せた。彼女はその傷をじっと見つめ、悲しそうに涙を落とした。

「私だって、あの時爆発で死にかけたのよ。もし私が本当に犯人なら、どうしてもっと早く安全な場所に逃げなかったっていうの?」

乃愛の腕の火傷跡を見つめながら、私はまるで心臓を締め付けられるような息苦しさを覚えた。

離婚届を颯斗に差し出したあの日の朝、私たちは激しい口論をした。

颯斗は私の目の前で離婚届を引き裂きながら叫んだ。

「琴音、もういい加減にしろ。何度言えば分かるんだ、俺と乃愛はただの友人関係だって。せいぜい家族みたいなものだろ。

お前が最近何を騒ごうが、俺は気にしていない。でも、離婚なんて言い出すとはな。

いいか、絶対に離婚なんてさせないからな」

颯斗は紙片を床にばらまき、空と一緒に怒りながら家を出て行った。

その後、乃愛はレースのナイトウェアを身にまとい、妖艶に寝室のドアにもたれながら、冷笑して私を嘲った。

「颯斗が離婚を拒むのは、私のためなのよ。世間体を気にしているだけ。

颯斗がどれだけ見栄っ張りか、あなたもよく知ってるでしょう?空もそうよ。

この前の保護者会、あなたが参加できなかった理由わかる?颯斗があなたをダサいと思ってるからよ。恥をかきたくないから、私に代わりに行ってくれって頼んだの。

あなた、この家で一体何の役に立ってるの?ただの法的な家政婦にすぎないじゃない。

私があなただったら、一秒だってこんな家にはいないわ。まったく、見てるだけで不愉快だわ」

私は怒りに燃え、乃愛を睨みつけ、化粧台の上にあった眉用のカミソリを掴むと、理性を失ったように彼女に向かって突進した。

乃愛は私が突然激昂するとは思わなかったのか、反射的に私の手からカミソリを奪い取ろうと強く握り返してきた。だが、力を入れすぎたせいでバランスを崩し、床に倒れ込んだ。その拍子に腕を鋭いカミソリに押し付けてしまった。

彼女は流血する腕を押さえ、私を睨みつけて言い放った。

「琴音、あなた、よくもこん
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