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第3話

空はすすり泣きながら、「ママ、痛いの......?」と震える声で言った。

その姿を見ても、私は冷ややかに口元を歪めただけで、長いスカートを引き寄せて義足を隠した。

どれだけ痛みが残っていようが、あの日、彼が「出ていけ」と私に言い放った瞬間の心の痛みには到底かなわない。

なんとか体を支え、地面からよろめきながら立ち上がり、颯斗に頭を下げた。

「助けてくれてありがとう、私は......」

「琴音、俺があの日、お前を救わなかったことで、きっとまだ俺を恨んでいるんだな」

「だけど、あの時はお前が寝室にいることを知らなかったんだ。それに、火の勢いがあまりに強くて、もし無理をして救助を続けていたら、消防隊の誰かが犠牲になっていたかもしれない。だから俺は......」

つまり、私は死ぬべきだったということか。

私は颯斗を憎悪の目で睨みつけた。

「それで?あの日、どうして寝室のドアに鍵をかけて私を閉じ込めたの?少しでも逃げ道を残すこともなく」

颯斗は困惑した表情で私を見つめていた。

「鍵だって?そんなことは知らない。あの日はお前と乃愛しか家にいなかった。俺は全然......」

颯斗が言葉を切り、驚いたような声が響いた。

「あなたが琴音なの?まだ生きていたの?」

3年ぶりに再会した乃愛は、以前にも増して飾り気に満ち、わざとらしく振る舞っていた。

彼女は甘えた様子で颯斗の袖を掴み、わざと上目遣いで媚びた顔を見せながら言った。

「颯斗、琴音が生きているならどうして私に教えてくれなかったの?

彼女が亡くなったと聞いた時、私、どれだけ辛かったかわかってる?

だって私のせいだと思ってたからよ。あの時、私の持病の心臓病が突然悪化しなければ、彼女を寝室にひとり置いて死なせたりしなかったはずなんだから......」

颯斗は小さくうなずき、さりげなく乃愛の手から袖を引き抜いた。

「乃愛の心臓病は本当のことだ。それに、あの火事も俺が悪い。

もしあの時、お前のことをもう少し気遣っていたら......お前が離婚を持ち出したことに腹を立て、空を連れ出して遊びに出かけたりなんかしなければ、あんなことにはならなかっただろう。

でも、今はお前が無事だったからよかった。これからは約束通り、ちゃんとお前を愛していくよ」

颯斗が私と結婚した時、彼は一生私を愛し、守り、信じ、決
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