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第6話

映像には、空が粉をひと袋、私が毎晩欠かさず飲んでいた貧血対策の漢方薬に混ぜている姿が映し出されていた。

空を産んだ時、私は大量出血で手術台の上で死にかけた。どうにか助かったものの、その後も体調は回復せず、気血が不足した状態が続き、ずっと補血薬を飲み続けるしかなかった。そうしなければ、貧血で気分が悪くなり、ひどい時には倒れてしまうこともあった。

それなのに、私が命がけで産んだはずの我が子が、私に黙って薬を仕込んでいたなんて。

颯斗に打たれた空は、片側の頬が腫れ上がり、茫然としていた。そして涙ながらに、颯斗に言い訳を始めた。

「僕、悪気はなかったんだ。乃愛おばさんが、これをママのコップに入れたら、ママの代わりに僕のお母さんになってくれるって言ったんだ」

その言葉を聞き、颯斗は険しい目で乃愛を見つめた。

「空の言ってることは本当なのか?」

乃愛は顔色を変え、眉をひそめて空を叱りつけた。

「空、今までおばさんが空にどう接してきたか、わかっているでしょう?

幼いくせに、どうしてそんなことを覚えてしまったの?しかも嘘までついて。おばさんが何を持っていたかなんて知らないのに、どうしてお父さんにそんなことを言えるの?」

空は驚愕の表情で乃愛を見つめ、顔をくしゃくしゃにした。

「でも......乃愛おばさんが......」

乃愛は冷たい目で空を睨みつけた。

「まだ嘘をつくなら、お父さんに頼んで寄宿学校に送るわ。週末も家に帰らせないからね」

その言葉に空はたまらず声を上げて泣き出し、私の方に歩み寄って腕を伸ばし、慰めを求めようとした。しかし、娘がその前に彼を押しのけた。

「これ、私のママよ。絶対にあなたなんか慰めないもん」

空は哀願するように私を見上げてきたが、私は娘をしっかりと抱き寄せ、小さな頬にキスをして言った。

「その通りね」

私の言葉に空はさらに泣き崩れ、颯斗は苛立たしげにもう一度平手打ちを食らわせた。

「泣くことしかできないのか」

空は泣きながら唇を噛み、泣き腫らした目で乃愛を見つめた。

乃愛はほっとしたようにため息をつき、空に目もくれず顔を背けた。

かつて私が宝物のように大切にしてきた空が、今や誰からも疎まれ、除け者のように扱われている。心が痛まないと言えば嘘になる。

だが、これも彼が招いたことだ。彼が背負うべきことだ。

みん
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