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第63話

紗希はわざとそう言ったところで、奈美はやはり引っかかった。

奈美は小声で言った。「紗希、どうせ暇だから、私が行くわ」

「いいよ。ありがとう」

紗希は手元の設計図の資料を渡し、ちょうど行かない理由を探していたところだった。

一方、奈美は特別に念入りにメイクをして、タクシーでその別荘に向かった。

彼女は来る前にこの団地のことを調べていた。ここに住める人は裕福か身分の高い人ばかりだ。紗希が住んでいる人は若くて格好いいと言っていたから、きっと金持ちの御曹司だろう。

奈美はワクワクしながら別荘に到着し、作業員がインテリアを全て取り替えるのを見ていた。しかし、彼女はその真っ赤なカーテンを見て、作業員が間違えて持ってきたかと思った。

すぐに、拓海は車から降りて家に入った。

外の作業員を見て、薄い唇が少し上がった。そういえば紗希も中にいるのか?

拓海は大広間に入ると、真っ赤なカーテンと非対称のデザインを見て、一瞬で全身の不快感が増した。

これは一体何なんだ?

彼は細い目で周りを見回した。「紗希はどこ?」

「拓海さん、紗希は少し用事があったから、私が担当しております。何かご用件があれば、私にお話しください」

奈美は興奮して近づいた。この男性はとてもかっこいいね!

拓海は冷たい表情で言った。「これら全部取り外せ。今すぐに」

もう一秒でも見るのもやめてもらいたいほど、彼は自分の目が傷ついているような気がした。

奈美は少し躊躇した。「どこか気に入らないところがありますか?」

「出ていけ!」

奈美はまだ何か言いたそうだったが、メイドの由穂に引っ張られて追い出された。

拓海はソファに座り、顔色は非常に悪くなり、携帯を取り出して写真を数枚撮った。

紗希は間違いなくわざとやったのだ!

一方、紗希は時間通りに帰宅したが、まだあの葉酸の瓶は見つからず、少し心配だった。

そのとき、彼女の電話が鳴った。

紗希は見覚えのある番号を見て、それは拓海の番号だ。

彼女は相手が何の用で電話をかけてきたかを予想していた。

彼女は電話を取れなかった!

紗希は部屋に戻ってベッドに横たわり、LINEを開くと拓海からのメッセージが届いていた。「これはあなたのデザインなのか?」

LINEには数枚の写真も添付されていた。

これは全て彼女がデザインした内装で、非対称デザイン、
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