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第147話

紗希は実は少し迷っていた。以前、直樹と拓海がオークション会場で喧嘩しそうになった。

それに前に彼女が風邪で気絶し、拓海に病院へ連れて行かれた時に北兄さんに出会い、北兄さんは子供が拓海のものだと疑っていた。

もしその友人の祖母が渡辺おばあさんだと知ったら、北は手伝うのをやめるかもしれない。

彼女は心の中でため息をついた。これは少し難しい。

「紗希、何を考えているの?」

北は愛情たっぷりの夜食を食べ終わり、彼女が考え込んでいるのを見た。「何か言いづらいことがあるの?それともお前の友人の家はお金が足りないの?」

「ううん、そんなことないよ」

拓海の家がお金に困るはずがない。

紗希は少し間を置いて言った。「北兄さん、どんな状況でも私を助けてくれるの?」

「当たり前だよ。お前は俺の大切な妹だからね」

彼は困難がなければ、困難を作ってでも紗希を助ける。

北は紗希の躊躇を感じ取り、手を伸ばして彼女の頭を撫でた。「大丈夫。どこの病院か話してくれればいい。紗希と一緒に行って見てみよう」

「じゃあ、北兄さん、先にその医者に来てくれるかどうか聞いて」

「分かった。紗希は早く休んでね」

紗希は立ち上がって部屋に戻り、北にこのことを話すべきかどうか迷った。それに拓海が彼女にこんなことをしてほしいかどうかも分からなかった。

もしかしたら最後に、拓海は彼女が余計なことをするのを嫌がったり、渡辺おばあさんの前で功績を誇示したがっているかもしれない。

彼女はベッドに横たわって顔を覆った。もういいや、とりあえずこのままにしておこう。

次の朝目覚めた時、紗希は突然お腹の調子が少し悪いような気がした。でもどこが具合悪いのかはっきりとは分からなかった。

紗希はお腹の赤ちゃんが心配になって、急いで北に電話をかけた。「北兄さん、お腹の調子が少し悪いの」

北は彼女の言葉を聞いて慌てて言った。「どこにいるの?俺が行く必要があるの?」

「今あなたに会いに行こうとしてるところ、多分私は思い過ぎたのかもしれない」

「紗希、何か問題があったら病院に来て診てもらわなければならない。今は妊婦さんなんだから、もっと気をつけないと」

紗希も実際そうしていて、タクシーで直接病院に向かった。

北はすでに病院の入り口で待っていた。「紗希、医者を手配したから、エコー検査を受けてみよう」

紗希
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