共有

第8話

静香が観客席で両親と兄を見つけたとき、口元に得意げな笑みを浮かべていた。

私がいなくなったから、自分が一番可愛がられる存在だと思っているんだろう。

ハーフタイムの休憩中、静香は可愛らしく父の腕にしがみついていた。「パパ、ママ、兄さん、来てくれて本当に嬉しいわ」

表彰台では、静香が賞牌を掲げながら笑っていた。

記者のインタビューに対しても、彼女はにっこり笑いながらこう言った。「今日は家族の支えがあったからこそです。これからもずっとパパとママの誇りで、兄さんにとって一番の妹であり続けたいです!」

静香のその誇らしげな姿を見て、私はただただ気分が悪くなった。

彼女の幸せは、すべて私の苦しみの上に成り立っている。

なんで静香は私を地獄に突き落として、自分だけが幸せになれるんだ?

観客席からはささやき声が聞こえてきた。「彼女の姉は最近亡くなったんでしょう?こんなに哀れなのにこんなに素晴らしいなんて」

「彼女の姉はただの無能な人間だったらしいわよ。浮気が原因で情殺されたって」

静香もその噂を聞いていた。

彼女の笑顔はますます輝いて、まるで私を殺した勝利を見せびらかしているみたいだった。

しかし、突然数人の警察官が現れ、笑顔が固まった静香のもとへ向かってきた。

「間違って捕まえたんじゃない?私はこの大会のチャンピオンよ!」

兄は冷たく言い放った。「捕まえたのは君だ。チャンピオンでもその黒い心は隠せない」

静香は最も注目を集めていた瞬間に、その仮面を剥がされてしまった。

彼女は息を切らし、目を大きく見開いて叫んだ。「証拠は何なの?パパ、ママ、助けて!兄さんが狂ってる!」

母は困った顔で静かに言った。「竹内から渡された録音機を聞いたわよ。君が言ったことはすべて録音されている」

静香が私を殺せと言ったり、両親を老いぼれ呼ばわりしたりしたのが全部録音されていた。

竹内は録音機の隠し場所を指摘しながら、嘲笑を浮かべた。「なぜあの子を放ったか分

かる?自分の可愛い偽娘が実の娘を殺したから、もっと苦しんでほしかったんだ」

静香はその言葉を聞いて顔色が青ざめ、地面に膝をついた。母は怒りに任せて彼女を叩いた。

後悔の色も罪悪感も見せない静香を見ながら、父が疑問を口にした。「私たちは君を養

女として大切に育て、桜子が戻ってきても何の偏見も持たなかったのに。ど
ロックされた本
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status