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第8話

何の表情もない彼女を無力に見つめながら、出会いが罰だったのだと突然感じた。それは俺に対しても、彼女に対しても。

思わず苦笑する。最初から出会わなければよかったのに。

しばらくして、祖父が病室から出てきた。

医者が眉をひそめて注意した。

「今回、危険な状態を脱しましたが、患者さんは高齢です。これ以上の負担は絶対に避けてください。家族として、しっかりとお世話をしてください!」

玲奈は安堵のため息をつき、黙ってうなずいた。

彼女は蘭と一緒に病室に入った。蘭があまり抵抗しなかったのはこれが初めてだった。

深夜、玲奈は過去の帳簿を調べていた。上村家が受け取ったリベートは数十億円にも上っていた。

彼女は目を閉じてお守りに触れ、再び目を開けたときには、その瞳には冷たさが漂っていた。

検察官がすぐに調査を開始し、その動きを嗅ぎつけた健斗は歯ぎしりした。

「そこまでやる必要があるのか?!あんな田舎者のために、僕たち何年もの関係を壊すつもりか?!」

私のことを言及されると、玲奈は鋭く怒鳴り返した。

「彼のことをそんなふうに言うな!彼は関係ない!貪欲なあんたたちが限度を超えただけで、私はただ規則通りにやっているだけ!」

「これまでは大目に見ていたけれど、私の限界を超えるべきじゃなかった!」

健斗は怒り狂いながら吠え、電話の向こうからは物が壊れる音が聞こえた。

「いいだろう!その骨を抱いて、一生好きにやればいい!」

玲奈は電話を切り、ベッドに横たわりながら俺の白骨を抱きしめた。頭蓋骨をしっかりと抱え、まるで子供のように甘えるような声を出した。

「拓海、私は本当に疲れたよ。どうしてみんな私を追い詰めるの?あなただけが優しかった……」

彼女の力尽きたような苦しむ姿を見て、俺はベッドのそばにしゃがみ込み、それ以上何も言わなかった。

後悔が役に立つなら、この世にはこれほど多くの悲しい人はいないだろう。
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