第1話

私が十年以上住んでいた茅葺き屋が火に包まれていた。

祖父は地面に押さえつけられ、濁った瞳が涙でいっぱいだった。

「玲奈、君はどうかしているのか！ここは君が住んでいた家でもあるんだぞ！どうしてこんなことをするんだ！！！」

玲奈の視線には嫌悪が浮かび、突然手を振り上げて祖父の顔を叩き、嫌そうに口を開いた。

「この老いぼれ、何をぬかしているの？！」

「拓海が私を助けなければ、こんな卑しい奴と一生関わることなんてないわ！」

「彼が私を弄んで捨てたからって、今こうやって報復されることくらい想像できなかったの？」

「二度と拓海は死んだなんてデタラメを言わないでよ！さっさと彼の居場所を教えなさい！それ次第でお前を許すか考えてやるわ！」

祖父は若い女性に顔を叩かれ、愕然とした表情を浮かべ、一瞬恍惚となったが、その後すぐに屈辱的に頭を垂れ、全身から生気が抜け落ちたように見えた。

「嘘なんて言っていない。彼は本当に死んでいるんだ……」

私は目をカッと見開き、まるでその場に飛び込んで祖父を庇いたいような衝動に駆られたが、何もできず、ただ怒りと悲しみを抱えたままその場に立ち尽くすしかなかった。

玲奈は不機嫌そうに保安員たちを呼び、祖父を黒いバンに放り込むよう命じた。

その瞬間、故郷を一度も離れたことのない祖父は激しく動揺し、全身を震わせながら地面にひざまずき、みじめに頭を地面に打ち付け、懇願を繰り返す。

「玲奈さん、私が間違っておりました。どうかお許しを……お心の広い貴女様に、この年老いた命半ばの者を見逃していただけないでしょうか。私はもうすぐ土の中です。お願いですから、どうかお助けを……」

祖父の老いた目には涙が浮かび、悲痛な嗚咽を漏らしながら、犬のように地面を這い回って哀願していた。しかし、保安員たちは無表情で祖父を力ずくで引きずっていく。祖父の手は必死にもがく間に指先が血まみれとなり、床には真っ赤な血の筋が残っていった。

私は目頭が熱くなり、胸が締め付けられるような痛みに襲われながらも、何もできない。ただ、玲奈を怒りに満ちた目でにらみつけるだけだった。

「祖父を放せ！彼は年老いた人間だぞ！少しは良心ってものがないのか？！」

「お願いだ、かつて私がお前を救った恩を考えて、彼を許してくれ……」

しかし、私は既に死んでいる。この言葉は波紋すら立てない。

玲奈は嫌そうに視線を逸らし、眉間に皺を寄せながら威圧的に言った。

「これが最後のチャンスよ。拓海の居場所を教えなさい。彼に土下座させて、私を捨てたことを後悔させてやるの！さもなければ、いくらでもお前を苦しめる方法があるんだから！」

私の名前が出ると、祖父は唇を震わせ、全身に死んだような気配をまとわせながら、黙ってうつむいた。

その瞬間、彼は一気に十数歳老けたように見えた。

玲奈は怒りのあまり冷笑を浮かべた。

「よくもまぁ、感動的な祖父と孫の絆ね。お前が彼をかばうなら、代わりに罪を償わせてやるわ！どっちも同じ穴のムジナで、まともな奴じゃないくせに！」

彼女は最も人通りの多い交差点で、祖父を車から蹴り落とした。

転がりながら地面に横たわる祖父は、痛みで呻き声を上げ、目の端には涙が浮かんでいた。

クラクションの音が鳴り響き、運転手たちの怒声が聞こえてくる。

「このくたばり損ない、どけよ！道を塞ぐな！縁起でもない！」

祖父は反射的に身を起こし、顔には卑屈な笑みを浮かべ、両手を合わせて何度も謝罪した。背後から再びけたたましいクラクションが鳴り響くと、振り返ってまた頭を下げて謝った。

彼の体からはかつての気骨が失われ、生命力も感じられず、丸まった体はひどく衰弱して見えた。

信号が青に変わると、人々の波が押し寄せ、祖父は足を引きずりながら人混みに混じって歩いた。周囲からは小声でのひそひそ話が聞こえてくる。

「何だあいつ、あんなに汚れて。どこのゴミ捨て場から這い出してきたんだ？」

「汚いし気持ち悪い！あんな奴に近づくなよ。触られたら今日一日縁起が悪くなるぜ！」

……

軽蔑や嘲笑を浴びながら、かつてよく笑っていた小柄な老人の目は、今や虚ろになっていた。

彼が橋の下で体を縮こませているのを見て、私の目から涙が止めどなく流れ落ちた。

何十年もの間守ってきた尊厳が、この瞬間に完全に打ち砕かれ、彼の体には死んだような気配が漂い、か細い呼吸だけが聞こえた。

玲奈はそれを見ても平然とスマホをいじり、顔には軽蔑の笑みを浮かべていた。

「こういう奴は自分でネズミの巣を見つけて隠れるのが得意よね！それに、拓海には大学に通っている妹がいるわよね。人を使って彼女を探しなさい！」

彼女の口元が上がり、顔には明らかな悪意が浮かんでいた。

私は自分が霊魂の状態であることも忘れ、必死に跪いて懇願した。

「妹には手を出さないでくれ……俺に何でもぶつければいい……」

「俺が間違っていた……お前なんて助けるべきじゃなかった……」

「土下座して謝るから……俺の家族を見逃してくれ……」