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第71話

月は雅彦の承諾を得て、すぐに運転手を頼んで市内で最も豪華なショッピングセンターに連れて行ってもらった。

カードに2億円が入ってくることを考えると、月は全然欲望を抑えられず、欲しいものをすぐに購入した。

月の気前が良いので、彼女は高級品店の店員の注目をひいた。このまるでスターのような気分は彼女にとって初めてのことだった。

最後に、月は以前に考えもしなかった多くの高級品を購入し、それらを持って満足そうに帰った。

家に帰り、月はそれらの高級品の精巧な包装を撫でながら、興奮がさめて我に返ると不安になった。

何でも欲しいものを買える生活を一度味わうとやめられなかった。みんなの羨ましい生活、彼女が一度体験すると、完全に取り込まれてしまった。

結局、彼女はただの偽物に過ぎず、時間が経つと何か変化が生じた場合、彼女はどうなるのだろうか。

あの日の女性は一体誰なのか。彼女は雅彦のような大物と関係をつけたことを知っているのか。もし彼女がいつか戻ってきたらどうなるのだろうか?

今自分が持っているものが全て奪われてしまうのではないか?

月は考えれば考えほど不安になって、高級品を楽しむ気持ちが消えていった。

じっくり考えた末、月はすぐに車を呼んでホテルに戻り、その女性が誰なのかをしっかり調べるために。

月がホテルに到着し、誰にも気付かれないように、いつものように普通に制服に着替えた。

そして、誰も注意していないうちに、ホテルの管理システムのコンピューターを立ち上げ、当日の宿泊記録を調べた。

しかし、あの日に彼女と同年代の独身女性の宿泊記録がなかった。

その女性はホテルの外から来たのだろうか?もしそうなら彼女を見つけるのは難しいだろう。

月は諦めなく、その日の夜勤シフト表も調べたところ、桃がその夜のフロア担当だったことが分かった。

確かあの日、桃は早めに退勤し、自分に代わてタイムカードを切るのを頼んだ。彼女はあの日のことを知っているのかもしれなかった。

月はすぐに桃に電話をかけ、その日の具体的な状況を尋ねようとした。

桃がその女性の姿を見ているかもしれなかった。

桃は病院で退屈にスマホをいじっていて、電話のベルが鳴り、月からの電話だと分かり、不安になった。

桃と月は元々普通の同級生、同僚で、彼女が退職してからはほとんど連絡しなかった。前回、月が電話をかけ
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