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第72話

桃はすぐに立ち上がり、「ごめんなさい、水をこぼしてしまったので、ちょっとトイレで服を片付けてきます。」と言った。

桃は月の反応を待たずに急いでトイレに駆け込み、服を片付ける気持ちもなく、手が震え、顔は真っ青だった。

月が言ったことから、あの日のことを詳しく調べたようだった。

しかも、かなり細かい部分まで調査している。

一体誰がこの件を調べているのか、雅彦なのか、それともあの日の男性なのか?

あの男性はまだ諦めていないのだろうか、彼は一体何をしようとしているのか?

結局、桃はその男性の子を身ごもっているので、不安と恐怖が押し寄せた。

その男性は大統領スイートに泊まれるほどの金持ちであるはず。もし彼がこの子を育てたくなくて、自分の子を奪おうとしたら、桃は何でも抵抗できない。

桃は考えれば考えるほど怖くなり、もう平静な態度を持して月と話す気力もなくなり、適当に紙で身を拭いてからトイレを出て、会社に事情があると口実をつけて急いでバッグを持って立ち去った。

月はさらに詳しいことを聞こうとしていたが、桃はもう急いで去っていった。

月はその背中を見て、何かがおかしいと感じた。今は退勤時間のはずなのに、桃の仕事はそんなに忙しいのだろうか?

しかも、彼女の反応は少し過剰ではないか?

とはいえ、月はそれ以上をあまり考えず、携帯を取り出して以前ホテルで一緒に働いていた同僚に電話をかけた。

「もしもし、もう一度確認してもらえる?あの日、大統領スイートのフロアに桃以外に誰がいたか。」

「昨日確認したでしょ、あのフロアにいたのは桃一人だけだったよ。でも、桃の資料が変だよ?」

電話に出た同僚が桃の資料を見ると、以前は20代の若い女性だったはずが、今では40代の中年女性になっていたのに気づいた。

「資料がどうしたの?」月も興味を持った。

「資料が中年女性に変更されていて、身分証明書も変更されてしまってる。」

その言葉を聞いた月は手が震えた。

もしかしたら、桃が慌てて逃げた行動とこの資料の改ざんには関係があるのではないか。「ちょっと待って、今すぐそっちに行く。」

月は急いでホテルに向かい、自分で確認すると、同僚が嘘をついているのかがわかった。

彼女は大胆な推測があった。もしかして、桃があの日の女性なのか?

そうでなければ、普通のサービススタッフがなぜ自分の
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