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第330話

雅彦はこの質問をした後、心が高ぶっていた。

もし今日この子供を直接見ていなかったら、絶対にこんなことを言い出すことはなかっただろう。

しかし、翔吾に会ってから、彼の眉と目が自分と似ていること、そして彼に対して感じる何か不思議な親近感が、雅彦の心に一抹の期待を抱かせた。

もしかして、この子は自分の子供なのか?

まさか雅彦がこんなに直接に質問してきたとは思わず、桃は一瞬動揺したが、その短い混乱の後、背後で手を固く握りしめ、その痛みで少し冷静になった。

「どういう意味?この子供とあなたが何の関係があるというの?何の資格があってそんなことを聞くの?まさか、あなたが昔したことを私に思い出させる気なの?」

桃はそう言って、目に憎しみの色を浮かべた。

彼女は決して忘れなかった。泣きながら雅彦に、子供はあなたのだと説明した時の、彼の嘲笑するような視線を。

その時、彼は彼女のお腹の中の子供を野良犬のように見て認めようとしなかったのだ、どうして彼女が一人で子供を産み育ててきた今になって、口を挟む権利があるというのか?

翔吾は彼女だけの子供だ。誰にも干渉させるつもりはない。

桃の目に浮かぶ憎しみを見て、雅彦の呼吸は少し重くなった。彼は目を伏せて、「君が僕を恨んでいるのはわかっている。でも、今日だけはこの質問の答えがどうしても知りたい。結局、昔君は子供は僕のだと言っていた。僕はその時信じていなかったが、今彼の顔を見て、信じるようになったんだ」

「私があの時言ったのは全部嘘だよ。子供を守るためにそう言っただけなの。雅彦、まさかそんなに簡単に信じたの?」

桃は心の中で焦りながらも、冷静を装い、皮肉な笑みを浮かべて雅彦を見つめた。

どうしても、翔吾を雅彦に渡すわけにはいかなかった。翔吾は彼女にとって何よりも大切な存在であり、誰にも奪わせはしなかった。

雅彦はしばらく言葉に詰まった。これらの言葉はすべて、かつて彼が桃に言ったことだった。

今こうして聞くと、なんて耳障りなんだろう。

それでも雅彦は諦めきれず、「そう言うなら、親子鑑定をすればすべて明らかになる」と言った。

親子鑑定を聞いて、桃は少し焦った。

「何であなたがやりたいからって、親子鑑定ができるの?私は同意しない」

「もし同意しないなら、君が何かを隠しているということだ。そうじゃなければ、なぜ鑑定をさせ
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