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第475話

奏……!?

病院。

マイクは病室でとわこのそばに付き添っていた。

子遠は病室の外で奏を待っていた。

奏が到着すると、子遠はすぐに彼をなだめようとした。「社長、医者はとわこにゆっくり休んでくださいと言っていました。少なくとも一週間はベッドから出られないし、感情もあまり激しくしない方がいいので……」

「お前、俺を止めるつもりか?」奏は冷たく彼を見つめた。

子遠はすぐに降参して自ら病室のドアを開けた。

奏が病室に入ると、子遠はマイクに目配せして、外に出るよう促したが、マイクはそれを無視し、胸を張って奏に言った。「子どもはもういない」

奏の目には複雑な感情が一瞬浮かび、低い声で言った。「外に出てくれ。とわこと二人で話したい」

とわこはぼんやりしていたが、その会話を聞いてすぐに顔を上げた。

子遠は大股で歩み寄り、マイクを引っ張って部屋を出た。

病室には、奏ととわこの二人だけが残った。

奏はベッドのそばに座り、彼女の点滴を受けている手をそっと握りしめ、慰めるように言った。「とわこ、子どもがいなくなったなら、それはそれで仕方ない。あまり悲しまないでくれ」

その言葉に、とわこはしばらく何も言えなかった。彼の美しい顔を見つめながら、まるで夢を見ているような気がした。

子どもがいなくなって、彼はこんなにも冷静だなんて?

「これからはちゃんと食事をして、体を大事にしてほしい」彼は彼女のぼんやりした顔を見つめると、胸が締めつけられるように感じた。

この子どもが彼女の望んでいたものであったかどうかは別として、彼女がこの子どものためにこれほどの苦しみを耐え抜いてきたのに、突然いなくなってしまったのだ。彼女の心はきっと引き裂かれるような痛みを感じているだろう。

「体を大事にして……」とわこは小さな声で呟き、眉をひそめた。「それで、次はどうするつもり?」

彼女の様子を見て、彼は何を疑っているのか、何を恐れているのかを察した。

彼女は、治してからまた妊娠を強要されるのではないかと恐れているのだ。

「とわこ、お前を敵だと思ったことは一度もない」彼は彼女の紙のように白い顔を見つめ、厳しい言葉をどうしても口にできなかった。「もうお前に子どもを産めと強要するつもりはない」

その言葉に、とわこの張り詰めていた心がようやく緩んだ。

「じゃあ、私がわざと転んだんじゃない
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