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第471話

まったくもって馬鹿げている、狂人だ!

奏は目を真っ赤にし、ソファから立ち上がった。

「もう二度と私の家に来ないで」とわこは冷たい目を上げ、はっきりと言った。「あなたが息子にしたことを、忘れているわけじゃないでしょう。彼があなたを見たら、その日のことを何度も思い出すだけよ」

奏は喉を鳴らしながら言った。「お前は俺が彼をいじめたところだけ見て、彼が俺に何を言ったか聞いたことはあるのか?」

「彼があなたに何を言ったにせよ、言葉でやり返すことはできたはずよ。暴力を振るう必要があった?」

彼女の言葉に間違いはない。

間違っていたのは俺だ!

「俺はそんな無礼な奴なんだよ!」と、彼は逆上して言った。

「自己紹介なんていらないわ!」とわこは彼を睨んだ。「そんなこと、分かってるから!」

彼の瞳の光は、少しずつ消えていった。

彼は説明したい衝動を抑え、残っている理性と尊厳を保った。

そして、テーブルに置いてあったギフトボックスを手に取り、大股で部屋を出て行った。

とわこは深く息を吸い込んだ。

彼が別荘を出た後、とわこは目を赤くして外を見つめた。

彼がその高価なプレゼントを、門の外にあるゴミ箱に投げ捨てるのを目撃した!

この狂った男!

自分だけでなく、周りの人も狂わせようとしている!

彼の車が去った後、とわこは歯を食いしばり、外へと向かった。

キッチンから出てきたボディーガードは、彼女が外に向かうのを見て、すぐに追いかけた。

「三千院さん、どこに行くんですか?」

とわこは言わなかった。

彼女は門の外に出て、ゴミ箱を開け、奏が捨てたギフトボックスを取り出した。

ボディーガードは何も言えなかった。

ゴミ箱を漁るなんて、彼に任せればいいのに、自分でやる必要はないだろう!

「ゴミはちゃんとゴミ袋に入れて捨てているから、この箱はまだきれいですね!」ボディーガードは気まずい雰囲気を打ち破ろうと、無理に話しかけた。

とわこはギフトボックスをしっかりと握りしめ、家の中へと戻っていった。

ボディーガードは彼女の後ろに続きながら、ぼそぼそと話し続けた。「三千院さん、余計なことかもしれませんが、今日は奏さんが来て、ずっと丁寧に振る舞っていましたよ……笑顔を
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