第470話

「誤解されたくなくてね」結菜は続いた。「これはお兄ちゃんがとわこに贈ったものよ」

とわこはプレゼントの箱を閉じ、奏を見上げた。「これってどういうつもり？」

緊張が一気に高まった。

マイクはすぐに結菜と二人の子どもを連れ出した。子どもたちが両親のケンカを見すぎると、心身に良くない影響があるからだ。

外に連れ出された結菜はすぐにレラと蓮に説明した。「お母さんへのプレゼントはお兄ちゃんが買ったけど、あなたたちのプレゼントは私が買ったの！だから、しっかり受け取ってね！」

レラは「うん」と答え、小さな手でプレゼントを開け始めた。蓮は何度もリビングの方を気にしていた。

「蓮、大丈夫だよ！今、お母さんはクズの子どもを妊娠しているから、彼はお母さんをいじめたりしないよ！」マイクが慰めた。「ねぇ、外に遊びに行こうか！」

蓮は「僕は行かない」と断った。彼はまだお母さんが心配だった。

結菜は蓮の手を引いた。「外に遊びに行こうよ！お兄ちゃんはお母さんをいじめたりしないよ。今日なんて、お母さんに何でも買ってあげようとしてたし、彼はとわこを本当に大事に思ってるんだよ！」

蓮はその言葉に鳥肌が立った。「奏のあのクズが誰かを大事にする？信じられない！」

リビングでは、奏はとわこの向かいのソファに座っていた。

彼女がこのプレゼントを受け取らないことは、彼の予想通りだった。だからこそ結菜に贈り物を届けさせたのだ。もし結菜が口を滑らせなければ、もしかしたら彼女は受け取ったかもしれない。

「奏、このプレゼントって、私が妊娠したことに対する労い金じゃないの？」彼女はプレゼントを彼の前に押し返した。「それ以外に、これは何の意味があるの？」

「何の理由もなく、プレゼントを贈っちゃいけないのか？」

「理由がないなら、どうしてプレゼントを贈るの？」とわこは反論した。

「結菜が君の二人の子どもにプレゼントを贈るのに、理由はない」

とわこは言った。「あなたは結菜じゃないし、私は五歳の子どもじゃない」

奏は彼女がここまで固い態度を取ることに、仕方なく口を改めた。「娘が気に入ったなら、彼女に贈ればいい」

とわこは答えた。「うちの娘はお下がりのプレゼントなんか受け取らないわ」

奏は一瞬言葉に詰まった。

「他に何か用事があるの？」彼女の言葉は、もうすぐにでも「もう帰っていいわ」と言いそう