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第413話

マイクはコップを手に取りながら、「お前の上司に何があったんだ?何かあるたびにとわこに迷惑をかけるのはやめてくれ……」と言った。

「彼が死んだ」子遠は苦しそうに言った。

マイクは「プッ」と吹き出し、水を思わず口から噴き出した。「冗談だろ?彼が死んだって……どうやって?」

「分からない。ネットでは彼が死んだと書かれている」

マイクは呆れたように子遠を見つめ、彼が泣き出しそうなのを見て、水を置き、部屋の中へ向かった。

「とりあえず落ち着けよ。今、とわこに電話して聞いてみる……昨日、彼女から電話があって、傷もそんなに痛くないって言ってたし、数日で戻れるってさ。あの時、奏に何かあったとは言ってなかったけど……」

「それは昨夜に起こったことだ」子遠は彼の後を追って部屋に入った。「彼の電話は繋がらないし、ボディーガードも出ない。彼の側にずっといたが、こんなことは初めてだ」

マイクは携帯を取り出し、とわこに電話をかけ、スピーカーモードにした。

電話が繋がるまで、しばらく待たされた。

「とわこ!」マイクも子遠の気持ちで焦っていた。「聞いたんだけど、奏が死んだって本当なのか?君には関係ないよな?」

とわこはベッドに横たわり、天井を見つめながら、かすれた声で答えた。「私がやったの」

「!!!」

「…」

「私がやったの」彼女は再び繰り返した。

「お前……お前、大丈夫か?」マイクは信じられないように頭を抱えた。「どうして彼を殺したんだ?どうして!?」

「わからない……」彼女は泣きすぎて喉が痛み、声もかすれていた。「どうしてこうなってしまったのか……」

「もう泣くな!すぐに迎えに行く!」マイクは言いながら、部屋からコートを取り出し、ドアに向かって歩きながら言った。「携帯、絶対に切らないで!」

マイクが電話を切ったとき、子遠は完全に呆然としていた。

本当に、社長は死んでしまった。

そして犯人はとわこだ。

なんてことだ!

彼らがいざこざを抱えていたとはいえ、互いに愛し合っていると思っていたのに、最後には誤解が解けて、また一緒になると信じていた。

まさか、待ち受けていたのは再会ではなく、この悲劇だったなんて!

マイクは玄関で靴を履き替えながら、子遠の姿に気づいた。
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