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第130話

レストラン。

井上美香は出来上がった料理をテーブルに運んできた。

「とわこ、ちょっと来て」井上美香は娘に声をかけた。

とわこは母についていき、洗面所の方へと歩いていった。

「あなた、常盤奏と喧嘩でもしたの?」井上美香は尋ねた。

「お母さん、私たちそんなにあからさまなの?」とわこの表情には特に感情はなかった。

何度も失望を経験し、心はすでに麻痺していたのだろう。

「そうね、あなたたち二人ともまるで関係が破綻しかけている夫婦みたいよ」井上美香は言った。「私があなたの父と役所に離婚しに行った時の表情、まさにそんな感じだったわ」

とわこは笑わずにはいられなかった。「お母さん、私たち離婚の話はしてないよ。まだ子供のことで意見が合わないだけ……」

「そう、彼はまだ子供を望んでいないのね?理由は言った?」

とわこは首を振った。「彼はうつ病なの。彼が病気だって考えると、自分に言い聞かせて受け入れなければって思うの」

「ほんとに気の毒ね」井上美香はため息をついた。「だからお金があっても仕方がない。健康が一番重要なのよ。私たちの方が彼よりも豊かだと思うわ」

「お母さんは彼がどれだけお金持ちか知らないからだよ」とわこは微笑み、小さな手で母の手を握った。「お母さん、今夜はありがとう!」

「これぐらい何でもないわ。毎日こうして料理を作ってあげたりしたいけど、常盤家のシェフが私より上手だもの」

「お母さん、他の人がどんなに上手でも、私にはあなたの料理が一番なの」とわこは温かく微笑んで言った。「ご飯食べに行こうよ!」

「私は家で済ませたわ。それに、あなたたち二人の表情を見たら食欲なんてないわ。」井上美香は皮肉混じりに言った。「先に帰るけど、彼とは喧嘩しないでね。彼を敵には回せないのだから」

とわこは安心させるように言った。「心配しないで。ちゃんと彼と話をつけるから」

母を見送ると、とわこは席に戻った。

彼女の前にはむきたてのエビが置かれていた。

それは彼が剥いてくれたものだった。

「常盤奏、あなたって女の子を追いかけるのが上手なんじゃない?」とわこは箸を取り、エビを口に運んだ。

「だいたいは向こうが俺を追いかけてくる」常盤奏は正直に言った。

とわこは彼の言葉にむせそうになった。

「あなたがむいてくれたエビを食べるなんて、光栄なことだわ」

「とわこ、
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