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第422話

棒太郎は彼女たちの前で何度も強調した。「これからは親王家では、必ず本名で呼んでくれ。俺は村上天生だ。棒太郎でも、クソ棒でも、棒クソでもない」

沢村紫乃は肩をすくめて言った。「棒太郎って名前はもう広まっちゃってるわよ。でも、あなたが喜ぶなら天生って呼んでもいいけど。どっちにしたって、私たちの心の中じゃあなたは永遠に棒太郎よ」

さくらは二人の師姉を案内して身繕いをさせ、新しい衣装も買い揃えるよう手配した。翌朝早くには承恩伯爵家へ向かう予定だった。

ちょうど紅雀が沢紫乃に平陽侯爵老夫人へ薬の処方箋を届けるよう頼んでいたので、将軍家の前を通ることになった。

将軍家の前を通り過ぎる際、紫乃は簾を少し上げて中を覗いてみた。特に変わったことはないようだったので、そのまま通り過ぎた。

平陽侯爵家の執事に処方箋を渡すと、彼女たちはそこには留まらず、急いで承恩伯爵家へ向かった。

馬車の中で、紫乃は篭と石鎖に承恩伯爵家での注意事項を説明した。

「私たちから手を出したり、暴力を振るったりしてはいけません。でも、煙柳という側室が姫君に近づくのは絶対に阻止してください。もし梁田世子が姫君の部屋に来て暴れ、夫人を泣かせたりしたら、梁田世子を部屋の外に連れ出してください。

姫が毎日飲む薬や食事は、必ず銀の針で確認してください。石鎖さんは薬学の知識があるそうですね。適切な時に養生スープなどを用意するよう手配しますが、自分で作る必要はありません。

それから、最も重要なのは、何か危険な状況が起きて、対処できないか介入しにくい場合は、一人が姫君を守り、もう一人が急いで私に知らせに来てください」

さくらは細かいところまで注意を与え、できるだけ屋敷の他の主人たちとの接触を避けるよう指示した。

さくらは承恩伯爵夫人が蘭を害することはないと思っていたが、このような家柄の人々が武芸者を軽蔑する可能性もあるため、二人の師姉に彼らの顔色を伺う必要はないと考えた。

要するに、警戒すべきは梁田世子と煙柳側室だった。

石鎖師姉は話を聞き終わると、うなずいた。「すべて覚えました。さくら、安心してください。その煙柳という女は運がないわ。煙のように、柳のように、自分では立っていられないものよ。風が吹けば消えてしまう。あまり心配する必要はありませんよ」

「ええ、でも用心に越したことはないわ。それに、大きな
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