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第448話

 車の中で、晋也が言った。「今日は多くの価値ある骨董品や宝石、絵画が出品されるよ。好きなものがあったら言ってくれ、俺が買うから」

そして続けて補足した。「別に他に意図はない。君は綾香の息子の嫁だし、俺にとっては娘のような存在だから」

「私はそういうのにはあまり興味がないわ」香織は微笑んで答えた。

「俺は骨董品や絵画を集めるのが好きで、いつも彼女と一緒に来ていた」晋也は言った。

綾香の名前が出ると、彼の表情は少し悲しげになった。

「今日は来る人はみんなお金持ちなの?」香織は話題を変えた。

やはり、こういうオークションには普通の人は来ないだろう。

晋也は頷いた。「そうだ。世界中の富豪がほとんど来る」

これもお金持ちの暇つぶしの一つだ。

香織は頷いた。

車が目的地に着くと、外には多くの高級車が停まっていた。

限られたモデルばかりで、香織はほぼ全部を見知っていた。

圭介が所有していたからだ。

時々乗らない車も持っているが、男が車を買うのは、女が服を買うのと同じだろう。

晋也は香織を中に案内した。入場の際には身分証明が必要で、晋也はこのオークション会社の常連なので、彼が娘だと言うと、すぐに入ることができた。

スタッフたちは晋也に敬意を表しており、明らかに彼を知っていた。

「私が来なかったら、あなたもスムーズに入れたの?」香織は問いかけたが、すでに確信を持っていた。

晋也は笑った。「見抜かれたな。君が疲れているのを見て、少し気分転換させたかっただけだ。でも、愛美が国内に行ったのは嘘じゃない。実際、彼女は綾香の墓を調べるために行った」

「彼はあなたに知られたくないから、調べることはできないよ」香織は言った。

晋也は彼女を見つめた。「君は彼のことをよく知っているね」

「彼の気性を知っているだけ」香織は答えた。

晋也は番号札の席を見つけ、香織を座らせた。すでに多くの人が集まっていた。

「愛美は俺の実の娘ではない」晋也が突然言った。

香織は彼の突然の発言に驚いた。

マスクをつけた香織の明るい瞳が輝いていて、カールしたまつ毛がパチパチと瞬いていた

「俺は綾香と子供を持たなかった。それが俺の人生で最も残念なことだ。彼女の体は良くなかったし、俺は片方の腎臓を失った」晋也はため息をつきながら言った。

医者はまだ生殖機能があると言っていたが、綾
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