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第417話

 香織は振り返り、憲一を見て慌てて説明した。「ただの推測よ」

彼女が自分の考えを口にしたのは、圭介が傍にいたからだ。

まさか憲一が来るとは思わなかった!

憲一は彼らを見送るために来たが、香織の言葉を聞いてしまった。

彼も由美が関わっているとは信じられないが、翔太の可能性が非常に高いと思い始めていた。

彼は若くて衝動的で、まさに彼がやりそうなことだった。

「今日はあなたの結婚式で、忙しいはずなのに、どうして来たの?」香織が尋ねた。

同時に話題を逸らそうとした。

「君たちを見送るために来た」憲一は言った。

そして少しためらって続けた。「由美に一言伝えてほしい」

「何を?」香織が尋ねた。

「それは……」憲一の言葉は続かなかった。「まあいい」

今さら何を言っても意味がない。

自分は由美との関係を裏切ったのだから。

香織が来た時はドライバーが送ってくれたが、今はドライバーを帰らせ、圭介の車に乗ることにした。

「香織」憲一は車のドアの前に立っていた。「今回は翔太を追及しないが、次があればもう甘やかさない。彼が俺を罵るのはいいけど、悠子は無関係だから、そんな侮辱を受けるべきじゃない」

「私はただの推測だと言っただけ」香織は再び説明した。

「彼以外にこんなことをする者はいない」憲一は翔太が犯人だと確信していた。

香織は憲一の独断的な態度が気に入らなかった。

「わかった」とだけ言い、車窓を上げた。

憲一は彼女の不快に気づいたが、追及しなかった。

車は走り去った。

「不快?」圭介が彼女に尋ねた。

香織は首を振った。「そうじゃないけど、憲一の態度が気に入らないの。あなたがいるから、私はただの推測を言っただけ。何も決定的なことを言うつもりはなかった。でも、憲一は証拠もなしに決めつけるから、受け入れがたいわ」

「そうか」圭介は軽く応じた。

「一緒に帰る?」香織が急に彼に尋ねた。

圭介はまつ毛をわずかに動かし、彼女を見ずに言った。「少し用事がある」

君と一緒には帰らないという意味だ。

香織は内心失望したが、表面では冷静を装い、無関心を装った。「分かった、忙しいのはわかってる」

理解している態度を見せた。

その後、二人は沈黙を保ち、車内は静まり返った。

やがて、車は家に到着した。

香織がドアを開けると、圭介が突然彼女の手を掴んだ。彼
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