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第9話

父と母は命を懸けて私と知紀を守ってくれた。あの年、私を守り続けたひまわりを植えてくれた父、そして愛してくれた母を失った。

もちろん、知紀も母親を亡くしたけど、彼は悲しむこともなく、私の悲しみを理解しようともしなかった。

それ以来、私は彼の肖像を描くことはなかった。

最初は彼を恨んでた。彼が私の家族を奪い、私を家に閉じ込めて、自分の世界に引きこもる原因を作ったんだと思ってたから。

さらに、彼は私をおばあさんから引き離し、若松家に閉じ込めて、後にはおばあさんを使って私に結婚を強要してきた。

あの頃、知紀は本当に私を愛してくれていて、私はなんとか自分に生きる意欲を持たせ、彼を許そうと努力した。あの時の彼もただの無垢な子供だったのだから。

生きるのが辛くなるたびに、庭のひまわりを見に行って、壁に凋むことのない花を描き続けていた。

でも、その後、私が必死に生きようとする中で、清香の登場ですべてが壊れた。

いや、すべてを壊したのは知紀自身だったのかもしれない。

彼は自分の手で、育ててくれた太陽を破壊した。私はもう耐えられなかった......

その日、若松の父がやってきた。彼はずっと私を嫌っていた。

知紀が厳しく監視していたため、今まで機会を逃してたんだ。

「俺には知紀しか息子がいない。何をしても彼の好きなようにさせてきたが、今回はお前のために自分の道を壊しかけた」

「この茶番はこれで終わりにしろ。これまでのお前への借りも充分返したはずだ。残りの人生、ちゃんと面倒を見てやる」

はっ。あの時、彼が愛人と遊び歩いて迎えに来るのが遅れなければ、こんな悲劇は起こらなかったはずだ。

どうして痛くも痒くもない言葉で全てを片付けようとしてるんだろう?まるで私に大きな恩を施したかのような態度を取って。

彼らは私を孤児にしたというのに、彼の息子のそばに置くことが恩恵だとでも思っているのか?

私はすべてを捨てて、かつて両親と住んでいた家に戻った。そこは今や無人で、危険な建物になっていた。

十年ぶりに、私は大人になった知紀の肖像を描き、幼い頃に一緒に寝た小さなベッドに横たわり、目を閉じた。

ベッドの上には、私が描いた家族四人の絵が埃を被っていた。幼い手で描いた幸せな家族の絵、それは大人になった紗紀が永遠に手に入れることのないものだった。

もしかしたら、小さな紗紀
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