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第8話

しかし、返ってきたのはさらなる苦痛と折磨だった。その前には、彼女が自分こそが愛人であると認める告白動画を撮影し、ネットに流されていた。

それで、世間の非難の矛先は彼女に向かい、かつて私を責めてた人たちが今度は彼女を攻撃し始めた。

でも、そんなことには何の意味もなかった。彼女たちがしたことは変わらないし、祖母が亡くなった事実も消えない。

知紀もこれで自分の過ちが清算されると思っていたのかもしれないが、間違いは間違いだ。すべての過ちが謝罪だけで許されるわけではない。

報復したって、憎しみは消えないし、私の心には彼への恨みが染みついたままだ。

彼らの中に無実の者など一人もいない。

彼は私に向かって媚びるような表情で言った。「紗紀、君が手を汚す必要はない。全部僕が片付けるから」

彼は私に血生臭い場面を見せたくないのか、そっと車に乗せてくれた。

になって知ったことだが、彼は彼女たちを別荘に閉じ込め、互いに殺し合わせ、最後には飢えで衰弱死するまで放置していた。

発見されたとき、彼女たちの遺体は傷だらけで、見るも無惨な状態だった。

外部には、彼はあの別荘は無人で、清香とは別れた後、彼女が勝手に忍び込んだのだと嘘の説明をしていた。

まるで彼女が私を悪者に仕立て、別荘に忍び込んで知紀を誘惑しようとした時のように。

ネット上では、彼女が愛人になれずに狂気に走り、自分を女主人だと思い込んで勝手に他人の別荘に住み着いた、という話が拡散された。

そこには食べ物がなく、彼女は餓死してでも離れたくなかった、どどうしても玉の輿に乗りたかったのだ。

清香は死んでもその悪評は広がり続け、整形していた過去や愛人としての生活、さらに夜の店で働いていた黒歴史まで暴かれた。

私はタブレットを手に、そのニュースを無表情で眺めていた。知紀は私の膝に頭を置いて、まるで撫でられたい犬みたいに甘えてきた。

「紗紀、君はもう僕を認めてくれたんだよね?これまでの間に少しでも僕のことを好きだったこと、あるよね?」

「悪かった。許してくれる?もう君とおばあさんの仇も討った。これからはずっと一緒にいよう、僕と一緒に生きていこう?」

「紗紀、僕は君を愛してる......」

私は彼に微笑みかけた。彼は喜びを浮かべた。

次の瞬間、私の一言でまた深い絶望に突き落とされた。

「どうして自分が無罪だ
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