第201話

私はちょうど食べ終わって、箸を置いた。「彼に会う？」

「うん、会う」

河崎来依は私と一緒に食卓を片付けながら言った。「この前彼は甘すぎた。私の言ったことを聞かなかったし、今は電話でははっきり言えないし。もう一度会って、決着をつけよう」

私は同意した。「応援するよ」

「じゃあ、一緒に行ってくれる？」

「いいよ」

私は笑って冗談を言った。「もし私が行かなかったら、来依は縛って売られてしまうかもしれないよ」

彼らの約束した場所は、まだそのプライベートクラブだった。

河崎来依は私を案内しながら、慣れた道を歩いて中に入った。部屋の前で私は考えて言った。「来依は入って、私がいると言えないことがあるかも。何かあったらいつでも電話して、すぐに入ってくるから」

「いいよ」

河崎来依はドアを押して入った。

私はドアの外に立ち、果物の盆と料理を運ぶウェイターたちを見て、気まずいと感じ、近くの空中庭園にゆっくりと歩いて行った。

冬になり、鹿兒島の夜は湿気があって寒かった。

ただし、このクラブは大金を使ったから、空中庭園の景観は美しくて豪華だった。

築山と水は、ささやかな音を立て、希少な植物もあった。

寒々しい秋冬にもかかわらず、お金持ちのために春のような感じを作り出した。

思いがけず、築山のそばに近づくと、なんとなく馴染みのある声が聞こえてきた。

水の音に邪魔されて、はっきりとは聞こえなかった。

無意識に近づいていくと、江川宏が冷たい口調で尋ねた。「藤原星華のこと、お前の仕業だろう？」

私は少し驚いた。

彼は誰に尋ねているのか？

藤原星華のことって...彼女が彼と結婚したいということか？

そしてすぐに、別の人が私に答えをくれた。

声はさわやかで涼しげで、淡々と言った。「江川社長、言葉だけでは証拠にはならない」

「やっぱりお前か」

江川宏は冷笑した。「南だけが愚かで、お前に騙されてばかりいる。山田時雄、彼女から離れろう。彼女は考えが単純で、お前には勝てない」

「それについては心配しなくてもいい」

山田時雄は冷笑したが、真剣に言った。「私は彼女に対していつも本気だ。お前のように、何度も彼女を傷つけない」

「残念だね」

江川宏はゆっくりと、唇の端に笑みを浮かべて言った。「どんなに本気でも、彼女はこの江川宏の妻だ」

「これで彼女を一生も縛