第59話  

　高村さんはある喫茶店の入り口で座り、ガラス越しに由佳に手を振った。

由佳が喫茶店に入ると、高村さんは自分の前にあるもう一つのカップのミルクティーを由佳の前に押し出した。「これ、さっき注文したやつ。新しく作ったばかりで、まだ熱いよ」

「ありがとう」由佳は高い椅子に座り、ミルクティーをストローに刺して一口ずつ飲み始めた。「後で三階に行く？それとも四階？」

三階も四階も服のエリアだ。

「三階でいいかな」由佳はのんびりとした調子で言いながら、ミルクティーを啜った。「なんで北田さんを誘わなかったの？」

高村さんは笑った。「彼女最近残業中なんだ！私たちのプロジェクトだけでなく、他のプロジェクトもあるんだけど、加波歩美のチームには問題が多すぎるって。胸が小さいとダメ、大きいとダメ、耳たぶも修正しないといけないって、こんなの見たことある？耳たぶを丸く下がって福相にするって言われて、最近彼女もうずくまってるよ」

由佳は笑い出して、「笑わないで、本当の話だよ。北田さんは本当にかわいそう。でも加波歩美の胸は本当に小さいね」

そう言って、高村さんは由佳の体に視線を移し、意味深な目で言った。「私たちの由佳ちゃんと違って、将来子供がいる時、子供幸せだね」

由佳は顔を赤くし、「冗談言わないで」

「冗談じゃないよ、由佳ちゃん。どうしてそんなに大きくなったの？」

「秘密だよ」由佳はストローを咥えながら視線をそらした。

結婚する前は本当にあんなに大きくなかった。結婚してから徐々に大きくなったんだ。

二人はミルクティーを飲み終え、手をつないで喫茶店を出てエスカレーターで三階に上がった。

案内係が二人を上から下まで見て笑顔で迎え、店の最近の人気商品を熱心に売り込んだ。

由佳と高村さんはそれぞれ試着室に二つずつ持っていって服を試着した。

「さすが由佳ちゃん、センスがいいわね。本当にぴったりだよ」高村さんが大げさに言った。

案内係も隣で熱心に勧めた。

由佳はすっきりと二着の服を手に取り、レジに行くときに財布を取り出した。その際、角に置かれた黒いカードを偶然見つけ、ふと気づいて取り出した。「これでお願いします」

レジ係がそのカードを見て、慎重に受け取り、ますます丁重に接した。

「やばい！お金持ちのお姉ちゃん、すごいじゃん、お金持ち姉さん、養って！」

由佳は高村さんの前