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第361話

  「もし私が来なかったら、今日の午後はどこに行くつもりだったの?」吉村総峰はサービス係から受け取ったサイドディッシュをテーブルの端に置いた。

 「フェリーに乗るつもりよ。船の上から撮影したオペラハウスとハーバーブリッジがもっと綺麗だって聞いたわ」由佳は焼き魚の骨を取りながら口に運び、外はカリッと中はふんわりしていた。

 「それならフェリーに乗ろう。由佳ちゃんに合わせるよ」吉村総峰は由佳のカップを見て、もう底が見えていたので、「まだスプライトが欲しい?僕が取りに行こうか?」と聞いた。

 「うん」由佳はスープにエノキダケを二つ入れた。

 「はい」吉村総峰はカップを由佳の前に置き、自分も席に着いた。

 「ありがとう」

 「ここ数日、シドニーで楽しんだでしょう?次はどこに行く予定なの?」

 「実は明日メルボルンに行こうと思っていたんだけど、今日はシドニーに来たばかりで、ほとんど観光していないの……」

 「大丈夫、以前仕事でシドニーに来たことがあって、こちらも遊んだことがあるから、明日メルボルンに直接行こう」と吉村総峰が言った。

 「それならいいわ」

 向かいのカフェで清次は、吉村総峰が由佳のそばに座り、時折飲み物を取りに行ったり、公の箸で料理を取り分けたりしているのを見て、腹が立ってしょうがなかった。

 その席は本来、自分のものだったのに!

 彼らは中華レストランから港まで歩くことに決めた。

 吉村総峰は由佳と高村さんのバッグを自ら持つことにした。

 途中でカフェに立ち寄り、入り口にはいくつかのサンシェードと丸い椅子が置かれていた。

 吉村総峰は「ここで少し待っていてくれない?僕がコーヒーを奢るよ」と言った。

 船の上で景色を楽しみながらコーヒーを飲むのは素敵なことだ。

 高村さんは頷いて、由佳を連れて椅子に座った。「それじゃ、お手数をかけますが、アイスアメリカーノを一杯お願いします」

 「私はラテを一杯、氷入りで」

 「了解、ここで待っていて。僕が並んでくるよ」

 吉村総峰はカフェに入り、女性用のバッグを二つ持って並んでいる姿を見た高村さんは、由佳に向かって「吉村くん、本当に優しいね」と笑いながら言った。

 由佳は淡い笑みを浮かべて何も言わなかった。

 この光景を清次は黒い顔で見つめ
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