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第363話

 翌日、由佳たちは飛行機でメルボルンに行った。

 夜まで遊んで、レストランで食事をした。

 ちょうど食事の時、吉村総峰はマネージャーから連絡を受け取った。「吉村さん、旅行の計画は無くなった。『夏の恋』が二日後に撮影開始になったので、できるだけ早く帰国して」

 このメッセージを見たとき、吉村総峰は頭が混乱した。

 目をこすって確認し、「冗談だろ?『夏の恋』は元旦後の撮影じゃなかったのか?」と聞いた。

 「さっきグループでお知らせがあったんだ。撮影が前倒しになったらしい」

 吉村総峰は受け入れられず、「なぜそんな突然に?」と問いただした。

 「これについては僕もよく分からない。以前からの情報はなかった。明日帰ってきて。アシスタントにチケットを手配させたから。もし撮影開始式に間に合わなかったら、メディアがまたいろいろ言い始めるだろう」

 明日帰ることを考えると、吉村総峰の心は崩壊しそうになり、「休みを取れないの?」と弱々しく尋ねた。

 「吉村さんがどう思う?」と返事が来た。

 他の役者なら数日遅れても大丈夫だが、吉村総峰は主役を務めており、最近の仕事も明らかにされているため、彼が暇なことは劇団も把握している。

 吉村総峰は苦しそうな顔をして、とても辛そうだった。

 旅行が始まる前に終わってしまうとは!

 由佳がそれを見て、口の中の食べ物を飲み込んで、「吉村くん、どうしたの?どうしてそんな顔してるの?何か問題があったの?」と聞いた。

 吉村総峰は長いため息をつき、無気力に椅子の背もたれに寄りかかり、撮影開始を前倒しにした人を罵りたくなった。

 「一体どうしたの?」と高村さんも尋ねた。

 吉村総峰は悲しそうに深く息を吸い、「明日帰らなければならないんだ」と告げた。

 「どうして?仕事がないって言ってたじゃない?」と由佳が言い、紅焼肉を一口食べながら、「とても美味しい、香ばしくて柔らかい、脂っこくないわ」と言った。

 「元々、元旦後に撮影が始まると言われていたドラマがあったんだけど、突然前倒しされたんだ」と吉村総峰は歯を食いしばりながらも仕方なく話した。

仕事が終わったと思ったら、結局は早めに撮影が始まることになった。由佳もどう言っていいか分からなかった。

 「どうして突然前倒しになるの?延期になる話は聞いたけど、前倒しになる話は聞いた
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