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第360話

 そのため、彼女はそれらのジュエリーが好きではなく、これまで一度も着けたことがなかった。

 「気に入ってくれればいいわ」

 「ちょうどいいわね、明日からつけてね」高村さんは箱を片付けながら言った。「それから、由佳ちゃんからのプレゼントも見てみて。昨日プレゼントを買っていたときに変な人に会ったけど、お店の人がちゃんと対応してくれたから助かったわ」

 吉村総峰はテーブルの上の箱を手に取り、その外見をじっくり見た。「これ、時計だろう?ちょうど最近時計のバンドが必要だったんだ」

 そう言いながら、吉村総峰は箱を開けた。中には精巧で控えめな機械式時計が入っており、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

 「わあ、由佳ちゃん、目が高いね!この時計、とても気に入ったよ。早くつけてみたい」

 吉村総峰は時計を由佳の手に押し込み、手首をテーブルに乗せた。

 由佳は時計を手に取り、吉村総峰の手首に装着した。

 彼女は少しうつむき、髪の毛が頬にかかっていた。

 吉村総峰から見ると、彼女のまつげは黒くて長く、ぱたぱたしていた。顔の皮膚は白くて細かく、まるで殻を剥いた卵のようだった。彼はその微細な産毛まで見ることができた。

 「はい、できました」由佳は吉村総峰の手首をいじりながら言った。「これでいい?」

 吉村総峰は自分の手首を見て笑いながら言った。「いいよ、このままつけておくよ!」

 由佳は少し笑い、突然背中にひんやりとした感じがした。

 もしかして清次が周りにいるのか?

 まさか?

 彼女は周囲を見回し、レストランの中に清次の姿がないことを確認した。

 ただの錯覚に違いない。

 レストラン向かいのカフェの二階で、清次は吉村総峰の姿を見て、目が墨のように暗くなった。

 吉村総峰がここにいるのはどういうことだ?!

 本当にしつこい!!

 その後、清次は由佳が吉村総峰にプレゼントの箱を渡すのを見た。

 彼は信じられない思いでそのプレゼントボックスを見つめ、それが由佳が昨日買った男性用の時計であることを確認した!

 どうやら吉村総峰にプレゼントしたらしい!!

 彼女は今日、吉村総峰が来ることを知っていたのか?!

 彼らは約束していたのか?

 なぜ吉村総峰にプレゼントを送ったのか?!

 吉村総峰も彼
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