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第359話

  翌日の昼、由佳と高村さんは歩き疲れて、中華料理店で食事をしていた。

 料理が運ばれてくるのを待っている間、由佳はスマホを見ながら疑問を口にした。「吉村くん、まだ来てないのかな?どうして連絡がないんだろう?」

 吉村総峰からもらったフライト情報によると、今朝にはシドニーに到着しているはずだった。

 高村さんは由佳の背後に目をやり、笑みを浮かべながら「たぶん遅れてるんじゃない?もう少し待ってみようよ」

 「そうだね、もう少し待ってみよう」

 その時、突然由佳の目の前が真っ暗になった。

 大きな手が彼女の目を覆ったのだ!

 由佳は無意識にその手をつかんだ。

 そして彼が低い声で「俺が誰か当ててみて?当たったらプレゼントがあるよ!」と言った。

 その声を聞いて、由佳はすぐにわかった。「吉村くん、子供っぽいんじゃない?」と笑いながら言った。

 吉村総峰は由佳を放し、悔しそうに言った。「そんなに分かりやすかった?」

 「もちろんよ!どっちに座る?」と由佳が尋ねる。

 彼女の隣も、高村さんの隣も空いている。

 「こっちに座るよ」と吉村総峰は由佳の隣を指さした。彼は高村さんとはあまり親しくないので、この選択は当然だった。

 由佳は少し席を詰め、座席に置いていたバッグを向かいの空いた椅子に移してから、吉村総峰を見て言った。「いつ到着したの?どうして連絡しなかったの?」

 吉村総峰は目の前の食器を整えながら「驚かせたくてさ」

 「で、どうやってここを見つけたの?」

 吉村総峰は高村さんを一瞥して「推測だよ。高村さんにここを勧めたんだ」

 「なかなか賢いね。仕事は終わったの?」

 「うん、元旦前には終わったよ。残りは来年に持ち越しだ」

 「来年」という言葉を聞いて、由佳はため息をついた。「時間が過ぎるのは本当に早いね、もう一年が終わっちゃうんだ。あ、そうだ。プレゼントを買ったのよ」

 そう言いながら、由佳はバッグから小さな四角い箱を取り出してテーブルに置いた。「開けてみて」

 吉村総峰は由佳を笑顔で二度見てから、急がずに言った。「僕もプレゼントを持ってきたよ」

 彼はポケットから小さな箱を取り出した。

 その小さな箱には、指輪かピアスが入っているに違いない。

 由佳は驚きつつ、困ったように言った。「またプレゼントを持ってきたの?今日は
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