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第7話

高橋健太があんなに騒ぎ立てたせいで、私も居づらくなり、鈴木時矢と一緒に会場を後にした。

その後、近くをぶらぶらと歩き回った。

「どうして急に来たの?連絡くらいしてくれればよかったのに」

鈴木時矢は私の手をしっかり握り、その目には私しか映っていなかった。

「会いたくなったから来たんだ」

二人で半日ほど甘い時間を過ごしていたが、午後になると兄から電話がかかってきた。

「華蓮、すぐに病院に来てくれないか?」

「あの高橋のバカが、この寒い中で指輪を探すために水の中に入って何時間も探し続けてるんだ。誰が止めても聞かなくて、今は救急処置室にいるよ」

「一度様子を見に来てくれないか?」

私は眉をひそめて、すぐに尋ねた。

「彼は意識を取り戻したの?」

「ああ、目は覚ましたよ。話してみるか?」

電話越しに数秒間の沈黙があり、その後、高橋健太の声が聞こえてきた。

「華蓮......指輪、見つけたよ。

これで......」

私は冷たい口調で言った。

「高橋、あなたはまだ若くて無鉄砲な二十歳そこそこだと思ってるの?そんな無茶をして何になるの?私たちはもう別れたんだから、もう関わらないで!」

そう言い終えると、私はすぐに電話を切った。

遅すぎる愛情なんて、道端の雑草ほどの価値もない。

一片の未練さえ感じない。

ただ、鈴木時矢は高橋健太が私にプロポーズしたことが気に入らなかったようで、帰宅後すぐに家中を飾り付けさせた。

至る所に赤いバラが飾られていた。

正直言って、とてもベタだった!

でも、本当に嬉しかった。

彼がプロポーズしてから3ヶ月後、私たちは結婚することになった。

結婚式当日、高橋健太から贈り物が届いた。開けてみると、中には特徴的なブローチが入っていた。それはかつて私が欲しがっていたもので、高橋健太に買ってほしいとせがんだものだった。

しかし彼は買わず、私はそのブローチをただ眺めるだけだったことを思い出した。

ブローチの下にはメモがあり、それを開くと三文字だけ書かれていた。

「ごめん」

私は箱を閉じ、感情を表に出さずに贈り物を持ってきた人に返した。

「お返しください。高橋さんからの贈り物は受け取れません」

控室のドアが開き、多くの人々が見守る中で私は一歩一歩進みながら鈴木時矢へと向かった。

彼はとても興奮している様子だった
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