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第5話

一郎は目の前の光景を信じられない様子で見つめていた。

「この親不孝者!俺が来なかったら、本当に人を殴り殺すつもりだったのか?お前らには法律っていう概念があるのか?彼女はお前たちの実のおばさんだぞ!すぐに放せ!」

「お父さん、何言ってるの?外で愛人を作って、その女に家やバッグを買うのも許せないけど、今度は私たちを騙すために、この女がおばさんだなんて作り話までしてるんじゃないの?」

りこは不満げに言った。

「パシン!」

りこの顔に、響き渡る平手打ちが飛んだ。

「なんで俺がこんな心が残酷で、法律も無視する子供を育てたんだ?俺はどんな罪を犯したんだ!」

「彼女、本当におばさんなのか…?」

私は病院に運ばれる途中、一郎は最後まで私が彼のおばさんだと信じようとはしなかったが、兄が私が送金した記録を見せると、ようやく口を閉ざした。

目が覚めると、私は病院のベッドに横たわっていた。

隣には兄が座っており、りこと一郎が立っていた。

私は頭を反らし、この二人の加害者を見たくなかった。

医者から聞いたところ、私の肋骨は8本折れ、全身に多数の骨折があり、顎も脱臼していたという。

体中には大小様々な傷と無数のあざができていた。

爪はすべて剥がされ、爪床が深刻に損傷しているため、再び爪が生える可能性はほとんどないとのことだ。

のどには臭い靴下が詰め込まれたため、真菌感染を起こし、声帯が裂けていた。

最も深刻なのは鼻だった。

何度も手術を受けて脆くなっていた鼻は、その一発でほぼ折れ、修復が難しく、今後鼻の整形手術を受けるのも困難だと言われた。

これから先、きれいなネイルをすることもできず、潰れた鼻を持ち、鴨のような声で話さなければならないことを思うと、怒りが体中を駆け巡った。

りこと一郎を生きたまま引き裂き、その血を飲み干したいほどの憎しみが私を支配していた。

そして、彼らに雇われた共犯者たちにも!

「おばさん、ごめんなさい。僕は愚かでした。あなたが誰だか知らずに傷つけてしまいました。お願いです、警察には通報しないでください。頭を下げて謝ります」

一郎は地面にひざまずき、自らを平手打ちしながら、額を地面に打ち付けていた。

「りこ、お前もだ!今回の件、お前が主犯
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