第4話

りこは信じられないといった表情で、壁一面に並んだ限定版のエルメスのクロコダイルバッグを見つめた。

それは私が世界中の店舗で集めてきたもので、この別荘の100平米あるバッグルームに保管していたのだ。

「このクソ女め、あたしはあの老いぼれに何度も頼み込んだのに、どうやってもダメだった！借金取りに追い回されながら逃げ回ってるのに、あいつは1円も出してくれなかった！それなのに、あんたには何千万円もするバッグを買い与えたってのか！死ね！どうやってそんなに彼を惑わせたのよ！」

彼女は狂ったように私を蹴り続け、男たちに私のバッグを運び出させた。

それでも気が済まないのか、男たちに私の腕を脱臼させた。

「調べたんだけど、あんたここに住み始めてもうしばらく経つみたいね。近所では評判も悪くないらしいけど、今日はあんたのこの恥知らずな愛人の正体を、周りの人たちにしっかり見せてやるわ！」

「う、う…！」

やめて！やめて！私はここに引っ越してきてまだ半月だ。やっと近所のおじいさんやおばあさんたちと仲良くなって、一緒に広場でダンスができるようになったばかりなのに。

彼らはこの嘘を広めて、私のことを知れ渡らせるつもりなのだ。

私は面子が一番大事だ。こんな屈辱を味わったことは今まで一度もない。

お願い、やめてくれ。

声が出せず、私は必死にりこに向かって頭を振った。

「今になって怖くなった？ふん！あんたが私の父に家を買わせたり、バッグを買わせたりした時には、なんで怖がらなかったの？」

「兄弟たち、何か用意して、外に引きずり出してやれ！みんなにしっかりと見せつけてやるんだ！」

私は縛られ、小さな台車に載せられた。一郎はどこからかステンレスの洗面器とおたまを持ってきて、歩きながら叩いていた。

「この女は恥知らずだ。俺の父親を誘惑して、家やバッグを買わせ、家族をバラバラにしたんだ。みんな、よく見ておけ。この女だ。お前らの家族も騙されないように気をつけろよ！」

そう言って、彼はおたまで私の顔にかかった髪をかきあげた。

「なんと、あれは藤田さんじゃないか！しょっちゅう外で買い物して、毎日違うエルメスのバッグを持っていたけど、あれは老人をたぶらかして買わせたものだったのか！」

「まぁ、誰かと思ったら。前に